龍隠庵訪問記


鎌倉市内にある寺院を訪問取材する「鎌倉のお寺さん」。
第三回の訪問先は円覚寺の塔頭「龍隠庵」。
(りゅういんあん)

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今回取材に伺ったのは、3月最後の土曜日で、
例年よりも早咲きした桜が散りかけたにもかかわらず、
大勢の人々が境内を散策しながら残花を
楽しんでいる時期であった。

この日は、午後から法要に出られるという前の、
貴重な時間をさいて取材に応じて頂いた。

龍隠庵庫裏 龍隠庵の場所は、北鎌倉、臨済宗大本山円覚寺にあり、 円覚寺の総門を過ぎ、山門(三門)・仏殿と進み、 その左手、選佛場と在家用の座禅堂居士林の間の石段を登りきった処。

途中、階段下の細い参道で掃き掃除をしている人の挨拶を受けながら石段を登ると、そこは思いがけなく視界が開け、円覚寺の伽藍を一望する境内に出る。

あたりを見回しても、お寺らしい堂宇はなく、古い仕舞屋風の書院と白壁の蔵。
その蔵に接した建物がどうも本堂らしい。
そして、その脇に、大きなビニールシートのかかったかやぶきの茶室らしき建物がある。

客殿で、太田住職から話を伺う。
記者の、幼稚な質問からご説明をして頂く。
禅寺特有の「塔頭」は、歴代住職で、”偉かった人”、”徳のあった人”のお墓を、その弟子達が、徳を慕ってお守りするために弟子が構えた建物。
従って(特例を除き)本寺の敷地内にあるのが普通でとのこと。

龍隠庵お蔵  龍隠庵は、太田住職が住職になられた時は、現在円覚寺の墓地になっている場所にあり、その後、現在地に移転した。

ここは、禅宗を世界に広めた鈴木大拙や、日本を代表する哲学者の西田幾多郎との縁、石井積翠軒(いしいせきすいけん)文庫のあった建物と、興味はつきない。

  龍隠庵には、小さな本堂と、わら葺きの茶室「楽々庵」(これから補修をして使いたい)、白壁の蔵、そして客殿らしき建物がある。

客殿らしき建物は、移転当時、雨漏りはするし、床が抜け、笹が生えてくるひどい建物だったが、各所から廃材をもらい補修を重ね、人が入れるようになったとのこと。
ここに座ると、角度の違った円覚寺の山門や本堂がとても印象的に見える。

 住職は、龍隠庵を再興するに当たり、宗派を問わず誰もが(ただし仏心のある人)集える参加型のお寺にしたい、と抱負を話してくれました。

 例えば、石を彫り羅漢を作る(作製した羅漢は裏山にお祀りしたい)グループや、写経・写仏のグループ。
クマガイソウ(熊谷草) 又お茶のグループなど、楽しく気楽に皆さんが来られるお寺にしたい、と熱っぽく語っておられ、聞いているうちに、記者も何となくすでに参加させて頂いている気持ちになってしまいました。

龍隠庵には、山野草がたくさんあります。

本堂と客殿の間には、春蘭、エビネ、ヒトリシズカなどがあり、歴代住職のお墓の下には、クマガイソウがあります。
クマガイソウは今年いくつも花を付けました。
山野草の好きなボランティアがこれを支えているそうです。

龍隠庵は、土日にはお茶のご接待があり、ご住職に共鳴したボランティアが応対してくれます。

うまくすると、若いご住職にお会いできるかも知れません。

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また今後、いろいろなイベントも行う予定とのこと。
お問い合わせは下記あて。

龍隠庵
電話:0467-25-1447


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