鎌倉の散歩道−17 朝比奈切通しと名越切通し 前回の「大仏坂切通しと極楽寺切通し」に続いて 今回は鎌倉の東方にある朝比奈と名越の切通しを紹介します 注: 2002年4月号の散歩道でも朝比奈切通しを歩いています。 朝比奈切通しは横浜市金沢区、名越切通しは逗子市にも含まれます。 鎌倉市街からも他の切通しからも離れているので、まとめました。 今回は、朝比奈から名越を経由して鎌倉に戻るコースを取りました。 梅雨の晴れ間に、編集部員5名が歩きました。 |
大船から神奈中「金沢八景行き」のバスに乗車、30分ほどで「朝比奈」バス停に着きます。少し戻って、「朝夷奈切通」の標識を見て左の小道に入ります。 標識は「朝夷奈}を「あさいな」と読ませていました。近くの民家には金沢区朝比奈の表札が出ています。 道路わきの巨大なイチイの老木、頭上の横横高速道路、道端の苔むした8基の庚申塔などを見ながら進みます。その先は鬱蒼とした森の中。落石注意の標識があり、新しい落石のあともありました。 |
右手の高い所には大小5つのやぐらも見えます。まもなく分かれ道があり熊野神社への路をとりました。 案内板によると、この切通しを掘削した時の守護神として、熊野三社大明神を祀ったのが始まりとありました。 この参道にはミズヒキが紅白の小さな花をつけ、神社の下はヤブミョウガの群落でした。お参りしてから切り通しの路へと引き返します。 |
市境のあたりにある切岸(きりぎし)のようなところに1mくらいの仏像が彫られていました。道造供養塔や安永九年峠坂道普請と書かれた石塔が置かれています(江戸中期)。 下り道は岩盤のところが多く、濡れているので滑り易いです。道の脇には水が流れ、小さな滝と釜になっているところもありました。前方から市役所の所員二人が上ってきたので、聞けば、四輪車を乗り入れる者がいるので見回りをしているとか。普段の手入れはボランティアの人たちがやっているそうです。 あちこちに切岸のような険しい崖があり、昔の人々の苦労の跡がしのばれる風景でした。 |
左に朝比奈ノ滝と石碑があります。 これが鎌倉側の切通し入り口です。 横浜側の入り口はどこかはっきりしませんでした。 左の写真は、入り口を出て振り返って見たところなので、石碑が右側に見えてます。 右に曲がると「鎌倉五名水」の一つの「梶原太刀洗の水」が川に注いでいます。小さな看板の字は読めません。 |
道なりに進むと県道に出ますが、すぐ脇の川沿いの道を辿り、塩嘗(しおなめ)地蔵で有名な光触寺(こうそくじ)があります。 鎌倉逗子ハイランドの住宅地を突っ切って、久木ハイランド入り口へ出ます。 横須賀線の踏切手前を右に行くと、日蓮ゆかりの法性寺(ほっしょうじ)があります。白猿が掲げる扁額を持つ特有の山門をくぐり登ると左に本堂。さらに上ると、日朗菩薩墳墓霊場と書かれた小さなお堂と両山(池上本門寺と比企ケ谷妙本寺)奥之院と書かれた建物がありました。 さらに奥へ進むと、墓地の向う正面に切り立った崖が現れました。これが有名な大切岸(おおきりぎし)です。外からの攻撃を防ぐための人工的な地形です。 |
墓地の右手の細い山道を標識どおりいくと、今は閉鎖されているまんだら堂に出ます。その先に目指す名越切通しがありました。やっと人一人が通れるぐらいの狭い岩の隙間のようでした。落石の危険のため通行止めの柵が設けられ、右側に迂回路が出来ていました。 |
ここが名越切通しの一番狭い部分です。 両側から岩がせり出していて頭上から落ちてきそうな気がします。通行止めの柵が見えます。 向こう側は左に曲がる坂になっているので、騎乗の武者などは通るのにさぞ苦労しただろうと想像されます。 戻り路には、これも通行の邪魔をするために置石という大きな岩が数個置いてあります。 |
五名水の「日蓮乞水」や、十井の「銚子の井」を見ながら大町へとでました。 1時すぎになっていたので、大町四つ角近くの「百苑」(ももぞの)で昼食にしました。 昼食後も鎌倉駅までのみちのり、ぼたもち寺、本覚寺、大巧寺などを見ながら歩きました。 朝比奈と名越は少し離れている分、ほかの名所史跡もあわせて見ることができ、半日の散策でしたが、非常に充実した感じがしました。約16000歩以上歩きました。 印象に残った花は、熊野神社のヤブミョウガの群生、切通し路傍の豪華なヤマユリ、大巧寺のハンゲショウなどでした。 |