
編集部員のリレー随筆(64)
全国 変わり種共同浴場(その10)
−市民浴場−
全国各地の共同浴場を訪ね歩いて15〜6年になります。
ここでいう「共同浴場」とは、熱源が温泉で、誰にでも公開している(誰でも希望すれば入ることのできる)浴場をいいます。
源泉が共有で近隣住民が維持管理をする浴場が典型的な共同浴場ですが、私営もしくは公営の銭湯(公衆浴場)も共同浴場に含めています。
主に全国の温泉場に見られますが、青森県の各市、長野県諏訪市、大分県の別府市や、熊本県の菊池市・山鹿市・人吉市、鹿児島県鹿児島市のように市街地の至る所に公衆浴場や日帰り温泉施設として点在する都市もあります。
このレポートは変わり種共同浴場の第十弾です。
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目次
○ エッ? 市民浴場って何?
ここでは、自ら市民浴場と名乗っている共同浴場を紹介したいと思います。何となく古い言葉遣いのような気がしますが、行政が市民生活の向上を意識したネーミングです。
似た例は町営浴場とか村営浴場という公営の共同浴場もありますが、訪問するならこの三例をお勧めします。
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■ 青森県三沢市 三沢市民の森温泉浴場
青森県は全国でも有数の温泉王国で、多くの温泉場が県内にあるほか、温泉場のない市町村でも必ず温泉施設を備えており、しかもお湯は良質で入浴料金は安いという温泉好きには欠かせない県といえます。
三沢市も温泉場といえるような温泉はありませんが、市内には天然温泉の入浴施設が十箇所以上も点在し、旅館と銭湯が一体化したような施設さえあります。。
さて、三沢市市民の森温泉浴場は三沢市の郊外で、小川原湖畔の広大な敷地内の三沢レストハウス内にあります。
他に、老人福祉センター、宿泊施設・やすらぎ荘があり、レストハウス内には産直販売店、レストラン「おおせっか」などが併設されています。

(三沢レストハウス)
レストハウス内部の北側にある温泉浴場は「湯っこ」と染め抜かれたのれんの先にあります。
入浴料は三沢市内の65歳以上は無料券が配布されているのでこの券を持参すれば無料ですが、忘れた場合も大人(中学以上)は110円です。消費税が5%の時は100円だったそうです。三沢市以外の大人(中学以上)は160円と非常に格安です。
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(のれんの奥が浴場)
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(入浴料金)
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脱衣場は広く、大型のロッカーが並んでおり、清潔です。
浴場も大きく、大型の窓に接した大浴槽は20人ほどが入れそうで、薄緑で透明のアルカリ性単純温泉は入っていると肌がヌルヌルすべすべになる良いお湯です。 PH値の高いアルカリ泉は肌の角質層の代謝をうながすので美肌の湯として有名です。
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(脱衣場)
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(浴槽)
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食事処「おおせっか」
湯上がりの食事は食事処の「おおせっか」が最適でしょう。
ゆっこののれんから廊下を戻るとおおせっかです。二十席を越える席のあるレストランで郷土料理などが格安で提供されています。
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(おおせっか)
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(店内の様子)
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(ほっけひらき定食 ¥550) |
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(みそラーメン ¥650)
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(定食のメニュー)
館内には他に、地元産の野菜や果物、手作りの菓子などを売る「森の駅」があります。
また、レストハウスを取り巻くようにグランドゴルフのコースが展開しています。市民は無料でプレーが出来るそうで、またゲートボール場も無料で楽しめるそうです。

(グランドゴルフ場)
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■ 山形県寒河江市 寒河江市民浴場
山形県寒河江市は山形市のほぼ中央にある人口約四万一千人の市で、さくらんぼ等の果物と農業が中心の土地柄です。
最上川の河畔にある寒河江市民浴場は昭和58年開業の市営温泉施設で市民温泉と名乗った最初の温泉と思われます。

(寒河江市民浴場看板)
建物は平屋建てで、浴場を中心としただけの、他には何の施設もないのですが、お湯は一級のアルカリ泉です。
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(寒河江市民浴場玄関)
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(脱衣場)
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やや茶褐色系の透明なお湯は、サクランボをかたどった湯口から大量に浴槽に注がれています。

(浴槽)
そして、市民の誇りは、入場者数が非常に多いということで、玄関を入ったロビーには平成21年には900万人達成という木札が並んでいるのです。

(入場者数記録)
現在は一千万人達成
この稿を起こすに当たって、現在の入場者数を確かめたところ、平成26年2月に一千万人を越えたとのことで、その旨の木札が掲げてあるそうです。
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■ 山梨県甲斐市 百楽泉
山梨県は火山が無いものの、点在する共同浴場は結構な名湯が多く、また地方自治体の経営する日帰り温泉はかなりの数にのぼります。
甲府市を中心に温泉を熱源にした銭湯も数多くあり、首都圏から近いこともあって訪れる人が多いのです。
ここで紹介する甲斐市は、甲府市と韮崎市にはさまれた山梨県中央に位置する都市で、平成大合併により誕生したが甲州市など山梨県民以外には位置がはっきりとしないという命名上の問題点もかかえていると指摘されています。
甲斐市には、百楽泉の他に「志摩の湯」「かまなしの湯」という市民温泉もあって合計3箇所の市民温泉があり、多分全国最多の市民温泉でしょう。
百楽泉はJR中央線の塩崎駅から数キロの場所にあります。

(百楽泉)
受付で入浴を依頼すると、市民以外の大人は600円の入浴料金で入ることが出来ます。(因みに市民の高齢者は150円、67歳以下の大人は300円です)
受付には地元産品の物販があり、ロビーが広いのでここで時間を過ごすお年寄りが多いそうです。
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(百楽泉の受付)
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(ロビー)
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浴場に入ると、右側の大きなガラス窓に沿ってメインの浴槽があり、左側に洗い場があります。
メインの浴槽の奥には二段ほどの上部にジャグジー付きの寝湯があります。
突き当たりはサウナ室と水風呂があります。

(メインの浴槽)
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(奥のジャグジー付き寝湯)
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(洗い場)
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お湯はアルカリ単純泉です。浴感は、ヌルすべ感があるぬるめのお湯で、筆者も好きな泉質なのですが、惜しむらくは循環使用ということと、浴室内のカルキ臭が若干気になるということでしょうか?。
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(サウナ室と水風呂)
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(脱衣場)
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入っている年配の方に伺うと毎日来て長い時間を過ごし、ロビーで読書をしたり、仲間と将棋を指したりするとのこと。
うらやましい限りの設備です。
(若干の情報)
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制作:ひろさん
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