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編集部員のリレー随筆(54)

全国 変わり種共同浴場(その6)

制作:ひろさん

全国各地の共同浴場を訪ね歩いて10年以上になります。
ここでいう「共同浴場」とは、熱源が温泉で、誰にでも公開している(誰でも希望すれば入ることのできる)浴場をいいます。
主に全国の温泉場に見られますが、青森県の各市、長野県諏訪市、大分県の別府市や、熊本県人吉市、鹿児島県鹿児島市のように市街地の至る所に公衆浴場や日帰り温泉施設として点在する都市もあります。
このレポートは変わり種共同浴場の第六弾です。


目次 出前の取れる温泉 千手温泉・千年の湯
高齢者福祉の温泉 鹿角市・湯瀬ふれあいセンター他


○ エッ? 出前の取れる共同浴場? (十日町市 千手温泉・千年の湯)

新潟県十日町市川西地区にある千手温泉・千年の湯は日帰り温泉施設では珍しく源泉掛け流しの温泉施設ですが、厨房を持たずに食事は全て出前に頼り、出前に応ずる店舗が4店舗もあるという珍しい温泉施設です。
(食事以外に宴会も可能で、出前に応ずる店は11店舗ほどあります。)


千手温泉・千年の湯
(千手温泉・千年の湯)

筆者の知っている限りでは、長崎県嬉野温泉の「シーボルトの湯」とこの千年の湯だけが出前を取ることが出来る温泉施設です。

千年の湯は10年ほど前、市の川西地区の再開発計画の中心的存在と位置づけられてリニューアルされたそうです。リニューアル前は幼稚園の空き園舎を使っての営業だったそうです。
付近には雁木のある商店/オフィスも出来、千年の湯は中心的存在の役割を果たして年間25万人の入浴客を集めているとのことです。

お湯は、やや茶褐色をおびた透明のお湯で、若干の油臭がします。

内湯浴槽
 
露天風呂
(内湯浴槽)
(露天風呂)

建物は木造トラス構造で、一部二階建ての建物です。一階部分はかなり広く、浴場も広いのですが、何より素晴らしいのは大広間が広く、陽だまりラウンジとよばれるラウンジも広々としている点です。

受付
 
陽だまりラウンジ
(受付)
(陽だまりラウンジ)

出前を頼むルールは、
1.各店舗のメニューを見て券売機で食券を購入し受付に渡す、
2.受付が指定の店舗に電話を掛け、番号札を依頼者に渡す、
3.出前が届くと館内放送で番号が流れ、
4.出前受付口に依頼者が品物を取りに行く、
5.食べ終わった食器は依頼者が出前受付の棚に戻す
という流れです。

出前のメニュー
(出前のメニュー)

ラーメン
 
五目ラーメン
(ラーメン¥500)
(五目ラーメン¥680)


なぜ、自前の厨房を持たなかったのか?。
いろいろと考えてみましたが、市街地の再開発なら民業を圧迫しない配慮があったのかも知れませんね。

千年の湯のホームページ

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○ エッ? 高齢者福祉の温泉? (鹿角市・湯瀬ふれあいセンター他)

全国の、温泉場を持つ地方自治体では、高齢者の医療に温泉を利用するとか、デイケア施設に温泉を活用する例をよく見かけますが、ここでは、共同浴場(日帰り温泉施設)という観点から高齢者に温泉施設を無料もしくは割安な入浴料金で開設しているケースを紹介します。

この中で、 筆者の訪問した範囲では、秋田県鹿角市の湯瀬温泉・湯瀬ふれあいセンター、栃木県那須塩原市の板室健康のゆグリーングリーン、山梨県笛吹市のみさかの湯、静岡県西伊豆町せせらぎの湯、長野県千曲市の老人いこいの家、熊本県人吉市の人吉老人福祉センターなどがあります。


湯瀬温泉・湯瀬ふれあいセンター

秋田県鹿角市は秋田県の北東部に位置する人口約3万5千人の地方都市で、市内には大湯温泉、秋田八幡平温泉郷などの温泉場があります。

湯瀬ふれあいセンターの建物は鉄筋三階建てで、ふれあいセンターの施設は二階部分にあります。
主な設備は内湯、露天風呂、サウナ設備で、市民と外来者が使うことができます。
60歳以上の特典は市民と外来者を問わず利用料金が100円ということで、60歳以上を証明する書類が必要です。鎌倉市の福寿手帳が役に立ちました。

湯瀬ふれあいセンター
(湯瀬ふれあいセンター)

内湯
 
露天風呂
(内湯)
(露天風呂)

お湯は無色透明の単純温泉(緩和性低張性温泉)で、さっぱりとした浴感でした。

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千曲市・老人憩いの家 (戸倉メリーランド白鳥園)

長野県千曲市は千曲川に沿って位置する人口約6万2千人の都市で、市内に戸倉上山田温泉という温泉郷を有しています。
千曲市の老人憩いの家は、戸倉上山田温泉の中の新戸倉温泉地区にあります。旧名戸倉温泉ホテル白鳥園は戸倉温泉の中でも有数の温泉ホテルだったとの事です。

経営のたち行かなくなった巨大旅館を市が運営し、老人憩いの家と障害者憩いの家を設けています。

高齢者の市民は利用券を交付されるようです。部外者は500円で利用出来ます。
市民は、浴場の他に、各サイズの座敷や多目的ルームなどを有料で借り受けいろいろの用途に使っているようです。

千曲市・老人憩いの家
(千曲市・老人憩いの家)

マンモス風呂
 
露天風呂
(マンモス風呂)
(露天風呂)

バブル時代の巨大旅館が閉鎖されると温泉街がさびしくなるので、活性化させるというメリットと老人や障害者福祉を結びつけたのでしょうか?。
300人は入浴出来ると豪語するマンモス風呂と名付けられた大浴場は向こう側がかすんで見えるほど大きな浴場でした。

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人吉市・老人福祉センター 

熊本県人吉市は熊本県の南部にあり、人口3万5千人強の静かな城下町で、急流球磨川が市の中央部を流れています。
市内の至る所から温泉が湧出し、なんと30余指の温泉施設が市内の各所で公開されている温泉都市でもあります。

人吉老人福祉センターは人吉市の中でも温泉湧出の発祥の地と云われる人吉市温泉町にあります。
この施設は昭和45年の人吉市の「老人福祉センター条例」により設置されました。
温泉施設を高齢者の福祉に結びつける例としては全国でも先駆けと云って過言ではないでしょう。
部外者は180円で利用できます。

人吉老人福祉センターは平屋建ての鉄筋コンクリートの建物でさして大きくはありません。
設備も温泉中心の設備です。
が、お湯は素晴らしいお湯で、薄緑色をおびた黄金色の透明なお湯は、肌がすべすべになります。浴槽内でじっとしていると肌に細かい泡が付着し少しずつ大きくなるお風呂です。
自噴泉で掛け流しです。

人吉市・老人福祉センター
(人吉市・老人福祉センター)

内湯
 
脱衣場
(内湯)
(脱衣場)

効能書
(効能書)

この効能書にもあるとおり、老人性の疾患にいろいろと効能があるので、長期にわたってのんびり湯治ができる老人福祉センターは市内のおとしよりの評判が良いようです。

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制作:ひろさん



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