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泉光院訪問記

(2005年6月8日)



鎌倉市西部の、藤沢市との市境を流れる柏尾川に近い地にある、
「真言宗大覚寺派・泉光院」を ご紹介します。

大船駅東口モノレール駅下のバス乗り場で、江ノ電バス
(2番乗り場・江ノ島または、津村行き・手広経由藤沢行き) で
「町屋橋停留所」下車、湘南液化ガスの裏側です。
「町屋橋」下車後、進行方向へ50Mぐらい歩き、
左折JR引き込み線を渡り道なりでいけます。
徒歩3分ぐらいです。
湘南モノレール「湘南町屋駅」又は「湘南深沢駅」
(徒歩12分ぐらい)からも行けますが、
道が込み入っていて分かりづらいと思います。

所在地:鎌倉市上町屋631番地




樹木が緑を競うように繁みを増す、入梅前の6月8日午前にお伺いしました。十八世紀に建てられた(以前は茅葺であった)といわれる山門をぬけると、 正面に本堂、左に薬師堂、参道両側に向かい合って宝筺印塔と宝号塔があり、本堂前面に弘法大師修行像、右に庫裡があります。

山門
山門
「住職は高齢なので・・・」と法衣(ほうえ)をまとわれた副住職様が案内してくださいました。
まずは、本堂に案内され、副住職様の用意された席で「御法楽」があり、同じ席でお寺の歴史・ご本尊阿弥陀三尊の説明を受けたのち、 境内を丁寧に案内くださいました。

当寺は天守山・高音寺・泉光院といいますが、院号で呼ぶのが一般的になっており 単に「泉光院」と呼ばれています。
開山は、寛永十六年九月七日「大法師季等和尚」によって開かれたと伝わっています。

以来、鎌倉市手広の鎖大師・青蓮寺(2002年6月掲載)の末寺として、高野山真言宗に属していましたが現住職の代に、 真言宗大覚寺派に変わりました。

当山のご本尊は、阿弥陀三尊仏です。中央の阿弥陀さまは私たちの苦悩を取り除いて、魂を救いに来てくれる仏様です。右側の観世音さまは慈悲を示し、私たちを救うため あらゆる場所に現れ、後利益をほどこしてくれます。勢至菩薩は知恵の徳を示し、大威神力を持って私たちの煩悩の悪魔を追い払います。

この中央の阿弥陀如来立像と両脇の観音菩薩・勢至菩薩の三尊は、全て寄木づくりです。

真言宗のお寺は、大日如来様がご本尊の寺が多いいのではないかと思われがちですが 、阿弥陀如来・不動明王・薬師如来などをご本尊にいただくお寺は結構多いのです。当寺のご本尊の制作時期は不詳ですが、開山の時代から考えて江戸時代と推定されます。
鎌倉期の阿弥陀如来は坐像が多く、江戸期の阿弥陀如来は立像が多いのですが、その時代を反映しているといわれます。つまり、阿弥陀様は衆生をお迎えにきて手をさしのべて 下さるわけですが、立っていらっしゃればすぐに来てくださるとの考えから、立像が増えたと考えられます。

当山は大正12年の大震災で、本堂・山門・薬師堂に大被害を 被りました。ご本尊や、仏具などは庫裏に移しましたがその後本堂を再建したのは、昭和36年になってからです。

本堂内の配置は、ご本尊の祀ってある側を 内陣、皆さんがお座りになっている側を下陣といいます。一般的にみて、真言宗は当時の信仰が貴族によって支えられていたためか、内陣の作りや飾りなど が、禅宗などに比べて華麗です。内陣奥で一段高くなっているところを須弥壇(しゅみだん)と呼びます。ご本尊他の仏様はこの須弥壇に祀られます。ご本尊が入っていらっしゃるのが 宮殿(くうでん)です。

本堂を出て、境内のご説明を受けました。

宝塔
徳本行者真筆宝号塔
印塔
宝筺印等

2基の石塔の説明(詳細は泉光院の歴史のページ参照ください)があり、建立年が古い方(宝筺印塔)が素材も強固で彫刻もくっきりとしていて、約80年あとで建立した宝号塔の方が 一部風化して文字が読めない部分があり、これもその当時の時代の雰囲気や経済状況などを反映しているのかも知れません。


薬師堂は、昭和52年に再建されました。ご本尊は薬師如来です、その名の通り病気を治してくださる仏様として信仰を集めており、当山でも眼病平癒の信仰をあつめ、 「町屋薬師」とも呼ばれて、多くの方がお参りした時期もありました。
毎年1月8日には「初薬師大護摩供法要」を行います。護摩を焚くのは、供物を燃やしその煙を 天上の神様に届け、願いをかなえるというインド古代宗教儀式を仏教が取り入れたものです。現世利益のみならず、護摩の火によって修行者の煩悩を焼き尽くすという精神修養の意義を合わせ持っています。


地蔵堂には、中央に地蔵菩薩、左右に弘法大師の石像がおまつりしてあり、当寺のお地蔵様は昔から「いぼとり地蔵尊」として信仰されています。

最近の若い方々は、お寺との縁(つながり)が全体に薄くなってきています。これからは先祖代々の菩提寺としての仏事以外に、お寺の意義や仏教を分りやすく 伝える努力をしていかなければいけないと思います。

タイサンボク 紫陽花

タイサンボクが白い花をつけ、境内の隅では紫陽花が咲き始めているのを眺めながら、法衣姿で編集子を迎え御法楽まで行って頂き、お忙しい中丁寧に境内までご説明くださった副住職様に感謝の念でお暇しました。

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