最新号
ロゴ、亜郁の暑中見舞い
2015

− 2泊3日 飯田線の旅 −    

亜郁



暑中お見舞い申し上げます。


 7月20日(祝)から3日間、飯田線沿線の旅を楽しんできました。入っている趣味の会の男女のシニアの仲間10人と。
この会は、2か月ごとの例会(講演)のほか、歩く会や鍋の会など幾つかの分科会がありますが、「今が青春18切符くらぶ」では、春・夏・冬休みに利用できる格安切符を使って、すでに27回もあちこちでかけていますが、今回は、秘境駅第2位の小和田駅周辺の探索、天竜峡温泉、天龍下りをしようという企画でした。


   早くもトラブル発生

 7時チョイ過ぎの大船駅発の電車は、3連休最終日とあって、座れないほどの混みよう(途中から座われましたが)。熱海からの電車もラッシュ時並みの混雑です。沼津から乗った電車は4両編成ですが、トイレが付いていず、一人、途中下車。幸い、30分後に、次の電車が来て、浜松へ。さらに豊橋で飯田線に乗り換えて、豊川稲荷参拝で豊川下車。豊川では、昼食時間も含めて1時間40分もありますので、中間との合流は心配なしです。この神社は初めてで、境内は広いですが、参拝客はまばらです。駅への道で仲間と合流できました。


   53年前の「飯田線三角形旅行」

 飯田線は2度目の乗車です。学生時代に一人で行ってます。その時書いたA4のスクラップブック(P15)を見ながらこれを書いていますが、先ず、佐久間ダムへ行きました。途中、天竜川をバスで渡りましたが、この橋の建設費は、1億円掛ったそうですが、ダム建設に使ったセメントの袋を売った金で賄えたとあります。
次いで、「声の仏法僧」を聞きに、鳳来寺山の石段を千段以上、喘ぎながら登ると仮本堂前で、「ブッブポッポー」と一声聞こえました。この日は湯谷温泉に、2食付きで1千円の宿に泊まってました。


   山のレストラン「じじ王国」に連泊

   3時間余の乗車で、金野駅に5時10分到着。無人駅です。駅から山道を約15分の上りで、今日明日の宿の「ジジ王国」に到着です。この宿は定員12人とかで、我々の貸切りでした。風呂で汗を流し、夕食です。無論、ビール付きです。乗り疲れもあってか、早い就寝でぐっすり眠れました。


   秘境駅第2位の小和田(こわだ)駅へ

 金野駅に着いた上り電車は、割と乗ってるな、と思いましたが、我々が乗る下りは数人しか乗ってませんでした。46分の乗車で、小和田に到着。皇太子妃と同じ駅名で、いっとき、多くの客が来たとか。秘境駅は、この言葉を最初に言いだした日本の秘境駅研究家の牛山隆信氏が、秘境度(周囲が断崖絶壁、深い山林、荒涼とした原野にあり、人家が無い(少ない)、雰囲気、列車到達難易度、- 車到達難易度 、鉄道遺産指数などを勘案して、自分のサイトに発表しています。第1位は北海道の小幌駅で、飯田線には、ランク50位に中に6駅があると言います。「秘境駅号」という臨時電車も運行されたそうです。しかし、ホームの駅名表示板に浜松市天龍区とあり、オヤオヤと思いました。
駅舎には、分厚い「思い出日記」ファイルが9冊置かれていて、訪れた人たちの思いが書かれていました。私も少し。駅に通じる車道はありません。二人がすれ違える歩道を降りると、屋根が見えました。第2位が何ということか!、と思いながら下ると、廃屋でした。カーテンからも放棄されてからの時間が感じられます。
天竜川の淀んだ青緑色の流れが見える所に出ると、浚渫船が見えました。しばらく歩いて引き返しました。
駅手前の道端の東屋に、「お二人の幸せを呼ぶ椅子」が置かれていました。「今朝(7月26日)のM紙に、『JR北は、日本一の秘境駅として知られるJR室蘭線 小幌駅を10月末までに廃止することを決めた』と報じていました」。となると、 小和田駅が日本一に昇格することになり、惜しかったと思いました。JR東海は、 臨時電車「祝昇格 秘境駅号」を仕立てるでしょうか。
1時間少しで、天竜峡行きが来て、車内で昼食です。宿で作ってもらいました。凍らせたボトルも入っていました。


   天竜峡温泉に入った後は、ライン下り

天竜峡駅で下車。峡谷を渡り、川沿いの高い遊歩道を散策し、しばらくすると、温泉宿「龍峡亭」に到着。モンペ姿の女将とその母親の二人がお出迎え。温泉に入ります。湯殿の一面から眼下に天竜峡が見えましたが、女湯は外が見えなかったと評判が悪かったです。水が濁っているのは、2、3日前の台風の影響とか。湯あがりのビールは格別でした。
 乗船場は宿から近くにありました。少し前に、このライン下りで事故がありました。待合室には、「万一落下(船)した場合は、脚を下流側に向けて水面に上げ、ラッコの姿勢で流され、救助を待つとありました」。泳ぎの心得はありますが、場所によっては流れが速く、少し気になりました。ライフジャケットを付けてはいましたが。高い乗船料を払って乗船。客は18人でした。舳先にベテランのおじさん。ともは若いお兄さんです。ガイドはおばちゃん。両岸に白いユリの花が咲いてます。この峡谷のシンボル岩の「龍角岩」が現れました。幅80m、高さ20mと。すぐ下は吊橋で、若いアベックがいました。手を振ったら応えてくれました。飯田線の鉄橋の下は波立っています。後方に座っていたので水しぶきは受けず。ベテランの船頭さんが2度、投網を打ってくれましたが、釣果はなし。前回獲ったという魚を投げ上げると、トンビが飛んできましたが、惜しい所で落としてしまいました。流れの緩やかな所ではエンジンをかけていたようです。おばちゃんが「天龍下れば」のサービス。私には、「勘太郎月夜唄」の方が懐かしいです。


   北斗七星が…

 電車で金野に戻り、じじ王国に。夕食後、長々とした女将のKYな話を倦んで、外へ出ると、曲がった柄と柄杓の北斗七星がはっきり見えました。皆にも教えてやりました。子どもが小さい頃、会社の旅行で伊豆大島へ行った時見た空は、満天の星で、天の川がはっきりと見えました。8時半過ぎの就寝。


   帰途に

 天竜峡行き、飯田駅行き、上諏訪行きの電車に乗り継ぎ。特に飯田駅からの2時間の電車が長く感じられました。途中、「市田柿発祥の地」の看板が出ていました。畑の中のあぜ道にキジが1羽、羽を休めているのを見つけました。岡谷駅から中央線に。どのくらいの勾配か分かりませんが、エンジンを止めて疾駆しているみたいです。甲府駅に2時前に着いて、遅い昼食です。仲間のリコメンドがあった「鳥もつ煮」とソバを。
 甲府からは身延線です。東海道線の富士まで一気乗りです。富士で乗り換えの時またも、尿意を催し、トイレに行ったら、皆さんがいません。今まで、最前電車に乗っていましたが、大船での利便性を考え、後方の車両に移動していました。少し考えて、合流できました。
 天龍下りで下船した唐笠港の船宿の小学生の女の子が、駅に見送りに出ていて、おばさんたちから、学校のこと、家族のことなど質問攻めに。もう夏休みが始まって、友達ともなかなか会えないのかなと思いつつ、手を振って別れたのが印象に残りました。




著作:亜郁   制作:ひろさん

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