白雲庵訪問記 2003年9月16日 臨済宗鎌倉五山第ニ位円覚寺の塔頭の一つ白雲庵を訪問しました。 JR横須賀線北鎌倉駅に降り立つとそこはすでに円覚寺の境内です。 円覚寺の山門をくぐり、左方へ進むとわき道があります。 案内石にしたがっていくと、左に北鎌倉幼稚園を見ながら 坂を上った右手に白雲庵への参道があります。 所在地:鎌倉市山ノ内462
9月半ばのお天気に恵まれた日、北鎌倉幼稚園の園長でもある磯谷住職が朝のお勤めを終えられるのを待って、本堂に向かって左脇にある幽石軒でお話を伺いました。 平成8年8月10日落成の本堂は、ご住職が日本一と自負されるだけあってすばらしい建物です。国有林の官材である檜を使用し、つやのある淡い鼈甲色の材がいまだによい香りを放っています。また一抱えもある八寸柱は手鉋で削り上げてあるということです。軒の垂木(たるき)も檜、反っているので一本の檜から一本の垂木しか取れないというぜいたくなものだそうです。 唐様建築に用いられる火燈窓(かとうまど)という鎌倉時代の様式の窓が採用されています。本葺き瓦の屋根には、立派な対の鬼瓦が乗っています。向かって右は口を開いている鬼、左は歯を食いしばっている鬼で、対置する「阿吽(あうん)」になっているそうです。屋根の棟の部分の鬼瓦は高さ1メートルに及ぶとのことです。また、瓦には北条氏家紋の三つ鱗がついています。
この本堂を開放して、演奏会や展示会のチャリティ会場として使われています。琴やフルート、バイオリンの演奏会では一度に300人が参加でき、工芸、陶芸、花芸展なども実施されています。そして、その収益は、骨髄バンク、盲導犬育成機関、ユネスコなどに寄付しているそうです。 2003年10月上旬に催された「京の絞り職人展」では、幽石軒に華麗な絞りの作品が展示され、伝統工芸の妙を広めるとともに新しい技法や作品も披露されました。
当庵は、昭和28年に宗教法人として独立しました。円覚寺の檀家を割当てられて、檀家を増やして寺の運営が成り立っているのです。 磯谷住職は、100件の檀家を増やされたそうで、また現在60区画の新墓地を用意しているところです。 また、園長を兼ねておられる北鎌倉幼稚園は、昭和23年に円覚寺の朝比奈宗源前管長が設立。毎朝の朝礼で瞑想と読経を行い、かわいい声で「われらは仏の子供なり。・・・南無釈迦無尼仏・・・ 」と唱えるそうです。 子供たちが、緑の中で伸び伸びと育ち、楽しみも苦しみも皆で分かち合い、人の気持ちがわかる人間に育ってほしいと願っておられるご住職でした。 本堂を拝見した後は、本堂に向かって右後方にある雲封亭を案内していただきました。 数百年前に、木靴を履いて行留(ぎょうど、休憩をする)を行える場所があったといわれているので、休憩所として再現しているところです。東屋を中心にして、沢山の四季の草花木が植え込まれ、静かな音色の水琴窟もある風流なお庭ができつつあります。
植物のお好きなご住職は、目薬の木、ナツハゼ(ハチマキブドウ)、ハクウンボク、オトコヨゾメ、ジュウリョウ(十両)、フッキソウ、シュンラン、エビネラン、ガンゼキラン、ミヤマウズラ、ネジキ、ナツロウバイ、シロタンポポ、キンギョツバキ、ウンナンツバキ、ムベ、セッコク、テイカカズラなどなど大切に育てて増やされているそうです。本堂の裏手にはハーブ園も作られています。
|