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鎌倉の散歩道−28

大船近代100年を歩く(4)

資生堂鎌倉工場

「鎌倉市大船近代100年を歩く」の最終回は資生堂鎌倉工場です

取材日:2005年10月12日

(正面玄関の建物とシンポルマーク)
正面玄関の建物とシンボルマーク


■ 資生堂鎌倉工場

資生堂鎌倉工場は大船駅から徒歩約10分の場所です。
大船駅で東口に出て、砂押川プロムナ−ド経由で行っても、芸術館通りを通っても 素晴らしいアクセスで、良い立地です。
近づくと、シンボルマ−クの花椿が目に入ります。
工場前で取材子の集合時間を待つ間、大型観光バスが2台、徒歩の女子高生の グル−プなどが工場に入りました。
なかなか人気のある見学のようです。

受付けで聞いたら、今日は、我々取材者(6人)を含め、70人の見学 があるとか。
(場所が分かり難いので文末の地図を参考にしてください)
   
見学者を乗せてきたバス
正面玄関の内側
正面玄関の内側
  テニスコートなど
テニスコートなど

工場は、見学受入れを考慮して建てられているそうで、受付けのすぐそばの 建物の1階にショールームなどがあり、2階には説明用の大きな会議室がありました。
まずは、会議室で案内する方の挨拶があり、ビデオで会社・工場の概要を 見ました。

1959年(昭和34年)、大船工場の操業開始
1995年(平成 7年)、鎌倉工場と名称変更

現在、化粧水・乳液・クリ−ム・ファンデ−ション・口紅を
生産しており、特に、口紅は国内で販売されている全製品を作っている。

「落ちない、つかない、にじまない」などの口紅の他、グロス等を
800色、1,200万本/年出荷している。
大阪万博当時のタイムカプセルから出てきたドルックス口紅は
時を経ても現製品と同じ色で、技術と信頼の証しと認められる。

   
見学前に挨拶、説明、ビデオの上映
見学前の説明
見学前の説明
  見学出発前
見学出発前

見学の前に、白いキャップと靴カバ−を着用します。さらに、製造現場へ入る前、クリ−ンゲ−トに入り、エア−シャワ−を受けて、着衣のゴミを取ります。
この日は人数が多いので、2班に分かれました。
我々第2班は、製造工程の下流からの見学でした。

出荷した製品は、一旦川崎の物流センタ−に行き、そこから各店に送られます。

瓶の箱詰、充填仕上室では、大勢の女性がベルトコンベアの前に座り、作業をしていました。 当工場には約1,000人の従業員がおり、その内、7割は女性とか。女の園です。
照明は、照度を一定に保つための採光・自動調光システムが導入されている。
赤いベネフィ−クをボトリング中で、この日は23、500本を生産する計画とのこと。
なお、製造現場での写真は禁じられていますので、見学者の写真でガマンです。
   
見学用の通路を行く
見学通路で説明を聞く
見学通路で説明を聞く
  通路のビデオを見る
通路のビデオを見る

外観検査は、機械では判断できない微妙な色・つやなどを人の目で1本1本 品質チェックがなされます。
口紅は加熱されているので液状です。容器の底から注入されていました。
調色された原料は、各種サイズの釜で加熱混合されます。ここには、流石に、 人は見当たりませんでしたが、他の化学会社の工場と比べて、全体に人が多いし、 人手による作業が多いなと感じました。

多品種少量生産が主で、洗浄や切替えに時間がかかる機械による 作業は少ないのです。人手がかかる小ロット生産、作業の方が多いのです。

管理部の部屋の前を通って見学は終了しました。

■ かまくら工房

この工場のなかにあるかまくら工房は、お客様とのコミュニケーションスペースとして設けられたショールームです。
口紅の歴史や、環境への取り組みの展示を見たり、化粧品のテスティングが出来るようになっていました。
開場時間(10時から16時)に自由に入場できるそうです。
   
かまくら工房
テスティングエリア
テスティングエリア
  テスティングエリア
テスティングエリア

原料となる固形ワックス、液状オイル、色材その他の添加剤などがかまくら工房に 陳列されていました。
ここには、また、舞子さんなど御用達の紅花を原料とした「京紅」も展示されていました。 あの唇の色はこれだったのです。
製造当初と比べて値段は変わっていないそうです。
お客様より依頼されて、年間50個程の製造だそうです。

工場は環境への取組みもしっかりやっていて、ゴミは39種類に分別されているとか。
   
リサイクル100%の工場
すべてのゴミをリサイクル
すべてのゴミをリサイクル
  リサイクルの説明を聞く
リサイクルの説明を聞く

社名の「資生」は『易経』の以下のくだりから選ばれた。

至哉坤元 (至れる哉坤元【いたれるかなこんげん】)
万物資生 (万物資りて生ず【ばんぶつとりてしょうず】)
乃順承天 (乃ち順いて天を承う【すなわちしたがいててんをうく】)

(地の徳はなんと優れていることか、万物はこれをもとに生まれる。
この地の徳と天の徳が結びついて万物を生長させるのである。)

■ 後記

1959年に出来てから、もうすぐ半世紀になる鎌倉工場は、周囲の環境がどんどん変化する中で大船の発展を見つめてきたといえるでしょう。
資生堂の口紅を一手に製造していること、環境への取り組み方、人の手のぬくもりの感じられる製造過程など、見学してみてわかったことがたくさんありました。

特に印象的だったのは、1897年(明治30年)に化粧品部門として初めて発売された化粧品「オイデルミン」が、現在も製造販売されていることです。
100年以上もずっと変わらずに作り続け、使い続けられているということにも驚きました。
   
オイデルミン
   オイデルミン
オイデルミンの当時の広告と現在の製品

最後に、個人的な興味から以前、河口湖マラソンで優勝したことのある、松田千枝さんのことをお伺いしたら、現在も本社に在籍しているとのことでした。
「佐倉マラソン」でお会いしたことがあります。目がキリリとしていました。

一般の方の見学は、10〜60人から受付けします。
詳しくは、下記へお問い合わせください。

見学についてのHP
見学申込専用 0467−91−3026

大船駅から資生堂鎌倉工場見学を経て、あとは、砂押川プロムナード、鎌倉街道、常楽寺、鎌倉芸術館、松竹撮影所跡などをまわるのもよいコースでしょう。

資生堂鎌倉工場への地図
資生堂鎌倉工場への地図

資生堂鎌倉工場のオフィシャルページへ


制作:亜郁/かぼちゃ
協力:ひろさん、湘南太郎、高山、花びら


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