最新号

リレー随筆 (No.78)

大 山 街 道 を 歩 く

大山街道は、関東各地から20(注*参照)を超える道があるといいます。 その代表的な道、或いは、江戸時代から最も多くの庶民が歩いた道は、東京の赤坂御門を起点とする青山大山街道のようです。その道を一部歩いた時の報告です。

後半は、道に迷ったり、地図にある橋がなくて大周りを強いられたりで、途中でギブアップ。 来年以降、再チャレンジしようかな、と思っています。


1) 私が意識した大山街道の初め

4年前の12月1日の自分史「塞翁」に、「大山道」がありました。金沢動物園の売店で貰った首都高速道路のパンフに出ていました。 「戸塚の柏尾から出ている「柏尾通り大山道」、「府中通り大山道」。 以前、旧東海道の国府津辺りにも、「大山道」の標識を見ています。中学の教科書に載っていた国木田独歩の『忘れ得ぬ人々』の冒頭に出てくる、川崎の溝ノ口の宿の「亀屋」の主人がその一人で、主人公は、大山街道を歩いてきて、ここに泊ったのでした。


2) 「大山街道ウオーキング・スタンプ・ラリー」のオープニング・イベントに参加

神奈川県は、「3033」運動(1日30分、1週間に3日、3ヶ月間、運動する)を提唱していて、その一環として題記イベントを川崎競馬場で開催し、参加しました。 知事の挨拶の後、競馬場を1周(1200m)した後、川崎大師まで、一部、多摩川に沿ったりして歩きました。 競馬場を歩いたのは初めてですが、砂が深く、歩きにくかったです。 この競馬場にある砂の量は4,800トンだ、などと計算もしました。 大師線の終点の小島新田駅から約10分歩いた所にある会社の研究所に通った頃、車窓から見えた、大きな水門の頂部にある石像は、市の名産品のブドウ、梨、桃をあしらった装飾だと言うことも分かりましたし、ひばりが歌った「港町13番地」の標識 「港町13」も見つけました。


3) 二子新地駅から宮前平駅まで歩く

1月28日、県スポーツ課が発行した前記スタンプラリーのパンフを片手に歩きました。 新地駅、多摩川土手の近くに、この辺りで生まれた、岡本かの子文学碑「誇り」が建っていました。 長男の太郎が制作したと。 この先、「国木田独歩文学碑」もありました。 この他、「蔵造りの店」や「江戸時代の薬屋」の蔵などが残っており、「大山街道ふるさと館」には、街道にまつわる資料などが展示されています。 溝ノ口駅を左に見ながら行くと、「子育て地蔵」や、庚申塔なども路傍に建っていました。


4) ガイド協会の案内で、国分宿、国分寺跡や厚木の渡しを

2月4日、数十人が集まったようでした。 特筆すべきは、「相模国国分寺跡」で、天平13(741)年の聖武天皇の詔によって建立された寺院の跡でした。南北300m、東西240mの広大な寺域があったとか。 基壇や礎石が残っていました。 塔跡(推定高さ65m)や基壇の規模は、諸国の国分寺の中でも最大級とか。 現国分寺参道近くに、推定樹齢570年の大ケヤキも立っていました。 これはすごかったです。大化の改新に伴う班田収授に基ずく区画割りされた口分田の跡があり、一大縄などの地名も残っているそうです。


5) 愛甲石田→伊勢原駅を案内で

18日、約3時間歩きました。 ここでは、「糟屋宿」などがあり、大山参詣の旅人などで賑わったそうですが、明治の大火で宿場の面影は残っていませんでした。 拝殿に「乙姫と竜宮城」、「浦島太郎と亀」の彫刻があるお寺もあり、太田道灌の首塚などもありました。


6) 宮前平から歩きましたが…

23日、一人で歩きました。 マンションなどが立ち並ぶ所は無難に通り過ぎましたが、面白くもなんともなかったです。 その先、こんもり木が茂る辺りから道を誤ったようで、早い昼食を摂りに入ったレストランで聴きました。地下鉄の中田駅に出ようと思いましたが、近くに多摩プラーザ行きのバス停があったので、それに乗りました。


7) WSRのファイナルイベント会場の大山阿夫利神社を目指しましたが…

26日、伊勢原駅から歩きだしました。 20分ほど歩いて、市米橋を渡って渋田川沿いに歩いて、「咳止地蔵」を見て、その先の橋を渡ろうと思いましたが、その橋が中々、現れません。 東名高速近くまで歩かされました。 地図をよく見て、地蔵から戻ればよかったのです。 「田村通り大山道」に出てしまいました。 地図上の現在位置は分かりましたが、バス停を見つけて、戦意消失。 伊勢原駅に戻りました。11時前でした。 最後の2回の一人歩きで、地図を読む力というか、しっかり見なくてはという気力の衰えを痛感しました。 果たして、再挑戦できるでしょうか。



(注*) 中平龍二郎著『ホントに歩く大山街道』、風人社。

川崎市大山街道ふるさと館発行のパンフ「訪ねて楽しい大山街道」も参考になります。


文:亜郁 / ページ制作:ぱどれ