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編集部員のリレー随筆(31)


鎌倉三猿案内記 


外国からのお客さんに 三猿(見ざる、聞かざる、言わざる)
ご案内しましたので紹介させていただきます。

■お客さんのこと

    この4月2日(木)〜5日(日)に、スイスとアメリカからのお客さんを迎えました。
スイスからはシュッテンヘルム夫妻で、ご主人の名前はエミールさん、奥さんはアンネケさん、アメリカ人はブルース・キッテスさん。みなさん三猿の "熱狂的"なコレクター です。

お客さん
作者の隣、左から エミールさん、アンネケさん、ブルースさん

    きっかけは、6年前 鎌倉シニア通信に「鎌倉の庚申塔」を載せたことでした。
多くの庚申塔には三猿が彫られています。間もなくエミールさんがサイトを見つけ、メールを送ってきて以来の "メル友" です。

    エミールさんは、世界中の "三猿" をインターネットで探しており、日本は、日光の三猿をはじめとして多数のサイトがあり、彼の"重点エリア" です。 PCには日本語システムを導入し、翻訳して見ているそうです。

    しかし、とんでもない翻訳になることがしばしば。質問に回答しているうちに、エミールさんの関心は庚申塔や庚申信仰・青面金剛・猿田彦等々と広がっていきました。
下記はエミールさんのサイト: 庚申に関する解説もあります。
http://www.three-monkeys.info/

エミールさんは1940年11月17日の生まれ、小生はわずか 5日遅い同年同月22日の生まれです。
名詞 名刺も日本語で作る凝りようです。

■来日の目的

京都、奈良をめぐって鎌倉に、そして最後に "三猿のご本家 ?"の日光を訪ねながら、

1.三猿の置物や飾りなど、三猿に関するものならなら何でも集めたい!
2.三猿が彫られている庚申塔を訪ねて見たい!
3.観光、特に桜を見たい!

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庚申塔を訪ねて 庚申塔の前で"三猿"のポーズ

■予備知識を仕入れる

    さて、スイスについて知っていること。 (アルプスの) ハイジ、マッターホルンやアイガーだけではまずいと考え、知識を仕入れに図書館へ。

    スイスの人は行動はゆっくり、しかし堅実とのこと。こんなジョークがあるそうです。

    「サッカーの試合の真っ最中、チームのマネージャーが、アナウンサーのところに飛んできました。"もうすこしゆっくり実況をしてくれないか、プレーしている選手が追いつけないんだ。"」

    特に経済観念が強いとのことで・・・、

■(置物・飾り) 三猿探し

庚申塔をたずねて
円覚寺門前の「匠の市」で三猿を探す  
    鎌倉で見つけるのは難しかったですね。
    一緒に、鎌倉駅の周辺、若宮大路、大仏前などのお土産屋と骨董屋をしらみつぶしに訪ねたのですが、無駄足でした。

    "生憎うちには無いですね。それなら日光でしょう。" と、どこでも同じような答えが返ってくるのです。

    そのうちにエミールさんも "ニッコウ" という言葉を聞き分けるようになり、"ニッコウ"と聞こえると、この店には無いということが分かるようになってしまいました。

    ようやく、江ノ島のお土産屋さんで見つけました。江ノ島には 36体の猿を彫った珍しい庚申塔があり、これをかたどったものです。

    値切りの交渉開始。ご主人は、値引きを周りのお客さんに知られたくないこともあり、ひそひそ話、長いことかかってしまいました。
三猿1 三猿2
江ノ島で見つけた三猿つきの徳利 エミールさん自身が市内で見つけた唯一の三猿

*今回の旅行で エミールさんが収集した三猿 はこちらから
この中の「日本」(Japan) をご覧ください


■庚申塔訪問

    4日もあれば鎌倉の主なところは"すべて"見ることは出来るでしょうが、庚申塔を訪ねることで、時間の配分に苦労しました。

    なんといっても一番古い庚申塔はご案内しないわけには行きません。北鎌倉駅から大船方面にある八雲神社の境内にあり、寛文五年 (1665) の銘があります。
庚申塔をたずねて 庚申塔をたずねて2
北鎌倉駅近く、八雲神社の庚申塔を訪ねて 市内で一番古い庚申塔
ちなみに日本で一番古い年代の銘のあるものは、
川口市(埼玉)にある文明三年(1471)だそうです。

    先に述べた36体の猿を彫った江ノ島の庚申塔や、藤沢駅から5分ほど北にある庚申堂と脇に立つ大きな庚申塔は小生にとってもはじめてで、よい機会となりました。
三猿1 三猿2
江ノ島の庚申塔1 江ノ島の庚申塔2

三猿1 三猿2
藤沢駅北の庚申堂
( 60年に1回、庚申の年に開かれる、次は2040年)
同左、境内の庚申塔
(通りの向かいの店の人が、外人が何をしているのかといった様子で、しきりに窺っていました)

三猿1 三猿2
大仏様を拝観する前にまず門前左の庚申塔を 庚申塔には関心のないアンネケさんも協力


■そして、鎌倉・江ノ島観光

    鶴岡八幡宮、大仏、長谷寺、御霊神社、円覚寺、建長寺そして江ノ島をご案内しました。軒並みお店を訪ね、庚申塔をめぐって、これが精一杯でした。
三猿1 三猿2
市内在住のマークさん(向かって右から2番目)も
加わって
サングラスで "半見ざる"

    京都、奈良では桜がまだ咲いておらず雨の日もあり、少々期待はずれだったようです。その点、段葛の桜は2日(木)から一斉に咲き始め、天気もよく、夜桜も楽しんでもらい、大変喜ばれました。小生もだいぶ点数を稼ぎました。
三猿1 三猿2
ちょうど見ごろだった段葛の桜 夜桜見物

三猿1

三猿2
小田急 江ノ島駅でエミールさん、アンネケさん マグロ料理「日の丸」で


■宿泊先ニューカマクラホテル

    遠来のお客さんには、七里ガ浜にあるPホテルがふさわしいのではないかと紹介しましたが、鎌倉駅の西口のすぐ脇のニューカマクラホテルを希望してきたのにはびっくりしました。

    ホテルになる前は産院で、小生の子供2人もここで生まれました。当時部屋は古ぼけて、暗い印象でした。

    ところが、実際に訪ねてみると随分よくなっています。身長 2メートル、体重 100キロ超のエミルさんにはやや狭いとはいえ、泊まることさえできればいいという彼らにとっては満足だったようです。

    料金が安いこともあり、外国人だけでなく日本人のお客さんにも結構人気があるようです。
三猿1 三猿2
本館入り口には、Welcome に当たるスエーデン語の
文字を掲げる。 映画のシーンに使われそのまま
残されたとのこと
別 館

    玄関の前の桜は、毎年見事な花をつけて一幅の絵になります。 今はすっかり緑におおわれていますが、華やかに咲き乱れた桜の季節に一緒に過ごした時が懐かしく思い出されます。
三猿1 三猿2
4月上旬 満開だったホテルの前の桜 今ではすっかり緑に

制作:泉ノ井



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