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編集部員のリレー随筆(6)





組紐に出会って35年。

最初は帯締めを作る為に教室へ。 茶道の稽古には着物、若い頃の数少ない着物に帯締めは一番の大切な小物の一つでした。


* * * * *
千三百年以上むかしに

万葉集(東歌)にも詠まれています 

高麗錦(こまにしき)紐(ひも)解きかはし天人(あめひと)の
妻問(つまど)ふ宵(よひ)ぞ我れも偲(しの)はむ

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◆ 組 紐とは ◆
◇三単位以上を法則に従って、斜めに交差させ組み上げた紐。
◇組み方で、厚く薄く、硬く柔らかく、 また伸縮の多い少ないが自在。断面の平たい、四角い、丸いものなど、その種類もきわめて豊富。 ◇撚ったり、編んだり、織ったりした紐とは違うので、用途に応じた沢山の機能を 作り出すことが出来る為、その利用は多岐にわたる。◇現在、私たちの身近には、帯締め、箱の紐、ループ・タイと その姿をかえ、多様に組紐は生きています。が、かつての組紐に注いだ熱い力は感じる事が出来ない今日この頃・・・

◆ 組紐の歩み ◆
組紐の頂点を極めた昔の一本一本の名品をたどりながら、組紐を生み出した工芸の「力」を、少し見つめたいと思います。

懸守の紐
箜篌の緒
むしたれ
むしたれ
婦人の外出用
(平安時代)
木造吉祥立像
結び紐
木造・上着紐
(奈良時代)
聖徳太子御所用
(四天王寺蔵)
螺鈿層箜篌の斑組緒(復元)
正倉院蔵(奈良時代)
一切経竹帙の緒(平安時代)は貴重
京都神護寺伝来(1149年在銘)
飛鳥時代に大陸から高度な組み技術が伝来。法隆寺や正倉院に数多くの組紐が残っている。 貴族の間では衣服や絵巻物、鏡、几帳(きちょう)、御簾(みす)などの調度や楽器などに。また、寺社では仏具、法衣、経巻、装束、神宝などに用いられました。


刀
兜の横面
畠山重忠奉納の鎧(伝)
柄 糸(日本刀の柄)
しころ(兜背面 の裾の部分)
(現代ー平組)
赤絲威鎧の威毛(武蔵御嶽神社蔵)
(中央部分平安時代末期のもの)
平安時代末期に登場した甲冑「大鎧(おおよろい)」は、 その大部分は、小札(こざね)と呼ばれる小さな金属札の一枚一枚を「くみひも」で綴り合わせて作る・・「縅(おどし)」、その「くみひも」は「縅糸(おどしいと)」、こうして防具の体裁を調えたのです。小札の綴りあわせは配色や柄は美しく、沢山の「くみひも」が用いられている大鎧には、 その総計は胴・兜・袖の一揃いで、300メートルにも及びます。武士たちは「くみひも」を纏って戦っていたわけです。「パンフレットより」


道行のボタン
名物裂大燈金襴
髪飾り
被布、道行のボタン
仕覆の紐(八つ組)
髪飾り(つり四つ組)
室町時代以降、茶の湯に取り入れられた「くみひも」に「侘び」「寂び」を感じさせる渋い感覚が求められました。 茶の湯と出逢うことで「くみひも」は、掛軸、手箱、茶道具など、茶の湯の調度には必要なもの、京くみひもは、 従来の華やかさとは違うところにある美しさを生み出す事。又、着物の付属品なども。


◆ 組紐のでき上がるまで ◆



唐組用
糸割り
染色り
糸繰り
一本分
秤で分ける
調合を加減し染める
糸巻きに巻く
経尺
撚りかけ
組み上げ
仕上げ
外周4尺で本数を整える
(帶〆一本8尺必要)
八丁で撚りかけ
丸台、角台、
綾竹台、高台で組む
両先の房付け等

※参考資料: 三重県組紐協同組合PRビデオ(伊賀くみひもー歴史と技を巡る浪漫ー)&パンフレットより

◆ 好みの組紐 ◆

16玉網代、丸唐(角台)・笹浪、二重唐組、奈良組(丸台) ・(綾竹台)による様々な帶〆(りんでん作)


近年製紐機による機械化の研究も進む一方、
着物の衰退で組紐(帶〆)の需要は減っている状態です。
私自身は糸(正絹)を触っていると落ち着くので、 これからも組み続けたいと思います。

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