関東大震災の鎌倉 その22

  ―公共施設等の被害―

5 師範学校・附属小学校と鎌倉高等女学校

 雪ノ下に所在する師範学校の本館と寄宿舎・附属小学校校舎は、一部を除いて第1震と同時に全壊しました。かろうじて倒壊を免れた建物も破損が激しく、使用できる状態ではありませんでした。
 師範学校に当日在校した職員は8名で、夏期の体操練習のため約70名の生徒がいましたがすべて無事でした。そして、附属小学校は授業が始まっていなかったため児童は1人もいませんでした。しかし、家庭では夏休み中の二部生1名と児童1名の死者がありました。
 震災直後職員は備品の掘り出しや倒壊建物の整理、授業開始の準備等に努め、校庭の樹木や倒れた校舎の古材などを利用して仮設校舎等の急造を行いました。その後は交代で役場に赴き被災者の救援活動を補助するかたわら、急造仮設校舎などで次のとおり授業を再開しました。
 11月 1日から 本科第3・4学年及び第二部
 同   5日から 本科第1・2学年及び予備科
 10月15日から 附属小学校

 鎌倉高等女学校は道ひとつ隔てた鎌倉小学校と同様、第1震で全壊しました。当日は授業が始まっておらず生徒はいませんでしたが、常直の技能員が圧死しました。なお、家庭で死亡した生徒は5名でした。
 10月中に応急の仮設校舎を建設し、11月5日から授業を開始しました。

『鎌倉震災誌』(昭和5年 鎌倉町役場)の記載内容から

浪川幹夫


写真1 鎌倉師範学校の被害状況「鎌倉にある県立師範学校本館の倒潰せる有様なり」
(『関東大震災写真帖』日本連合通信社 大正12年11月28日発行)
写真2 鎌倉師範学校の被害状況 画面左は附属小学校、奥は寄宿舎か。
(鎌倉市中央図書館蔵)
▲TOP

Copyright (C) Kamakura Citizens Net / Kamakura Green Net 2005 All rights reserved.