関東大震災の鎌倉 その7

  ―各区の被害状況―


雪ノ下
 震災直後に発生した火災によって、若宮大路沿いにあった富田屋・天松・山口等の大きな旅館が焼失し、 鶴岡八幡宮前辺りが焦土となりました。 しかし、社頭にあったかやぶきの角正(かどしょう)旅館(現在は駐車場)は 焼け残り、松並木沿いの住宅も数軒が類焼を免れました。
 若宮大路東側や鶴岡八幡宮境内では火災の被害はなかったようですが、同宮や、 横町から大倉方面や筋違橋(すじかいばし)周辺で建物がのきなみ破壊されました。  主な全壊建物は師範学校と附属小学校々舎(現横浜国立大学附属小学校)・鶴岡八幡宮楼門・下拝殿(舞殿)・白旗神社拝殿・郵便局・角正旅館等で、 太鼓橋(石橋)は墜落、三ノ鳥居・二ノ鳥居も倒壊しました。 二ノ鳥居脇では、住人のひとりが二ノ鳥居の笠石の落下で圧死したといいます。
 県道小袋坂は崖が崩壊して埋没。鶴岡八幡宮から建長寺に通じる坂の上り口の間の水路沿いでは路面に亀裂を生じ、 新宮入口附近(現鶴岡八幡宮駐車場辺り)が陥没し、大臣山や小袋坂旧道沿の山々も各所で崩壊しました。
 戸数は432戸。うち、全壊229戸、半壊127戸、全焼76戸、半焼2戸で、死者は37名を数えました。

浪川幹夫


写真1 倒壊した鶴岡八幡宮楼門(鎌倉市中央図書館蔵)
写真1 倒壊した鶴岡八幡宮楼門(鎌倉市中央図書館蔵)

写真2 絵葉書「大正十二年九月一日 鎌倉大震災の惨状 八幡前二の鳥居附近」
写真2 絵葉書「大正十二年九月一日 鎌倉大震災の惨状 八幡前二の鳥居附近」

写真3 崩壊した小袋坂(鎌倉市中央図書館蔵)
写真3 崩壊した小袋坂(鎌倉市中央図書館蔵)


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