古き鎌倉再見 その6

明治初年頃の海浜風景

 今回は明治初年頃撮影の、『ザ・ファー・イースト』掲載の鎌倉の海浜風景を紹介します。

写真:江の島、砂浜より望む
写真1 “IN MO-SIMA, FROM THE SANDS.(江の島、砂浜より望む)”
『ザ・ファー・イースト』1871年9月1日号(旧暦明治4年7月17日)
(横浜開港資料館蔵)


 七里ガ浜から小動(こゆるぎ)岬と江ノ島を望んでいます。ポーズをとっている二人は地元の漁師でしょうか、写真は当時の風俗も良く伝えています。また、この号の記事によれば、「視界にあっても富士はカメラにははいらないほど遠い。せいぜい1マイルかマイル半先の小さな島を撮影して満足しなくてはならぬ」(金井圓訳 『THE FAR EAST.』《復刻版》 昭和40年 雄松堂書店)と、写真に富士が写らなかったことを悔しがっており、撮影に苦労したことが伺える点でも興味が持てます。

写真:腰越、江の島付近の砂浜
写真2 “KUSHIGOI, ON THE SANDS NEAR YENOSIMA.(腰越、江の島付近の砂浜)”
『ザ・ファー・イースト』1872年1月1日号(旧暦明治4年11月21日)
(横浜開港資料館蔵)


 腰越の漁村の風景。画面左側が小動岬でしょうか。漁家が磯ぎわに密集している風景で、ことに明治初年の漁村の写真は鎌倉では珍しく、往時の姿を伝える貴重な一作といえましょう。


浪川幹夫

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