鎌倉にゆかりのある方にお話を聞く…第27回 My 鎌倉
今回のゲスト
三宅霞雲さん

  私が母と東京から鎌倉に参りましたのは、父が他界しましたのを機に空気のよいところに住もうと考えたからでした。その母も亡くなり、これからどうしようかと思ってい たところ、鎌倉市の教養センターの所長さんからのお勧めがありまして、水墨画の教室 を持つことになりました。昭和57年のことです。  母にその方面の趣味がございまして、私も幼い頃から大体の基礎は習っておりましたし、鎌倉に参ってからも、何人かの先生について描き続けてはおりました。しかし、自分が先生になるとは露も思っておりませんでした。  水墨画は中国より宋、元の時代の水墨画が渡来し、次第に日本人特有の美意識を反映することの出来る領域となりました。その中で、私は殊に侘び寂を感じる絵が好きです 。そんな私が思い描く水墨画を誰かに教えることも面白いのではまいかと、そう考えま した。今まで習いました、色々の絵のよい部分を取りまぜ教えるわけです。まあ、言うなれば三宅流です。  どの位置で筆をねじれば葉っぱらしく見えるかとか、こう滲んでみせるにはどういう風に墨を筆に含ませたらよいか、そういうことを教えることにしています。

こんなことがありました。あるとき生徒さんの一人が急に上達されました。突然という感じで、不思議に思って尋ねてみますと「先生が筆をどちらに倒しているのかを見て描いたら、上手く描けました」と教えて下さいました。気持ちを大きく品のある絵を力強く丁寧に書けたら、と何時も思っております。  こうして生徒さんが大勢集まって下さることは私にとっても大変嬉しいことです。  生徒さんが賞を取られたり、どなたかに誉められたり、上達して喜んだお顔を見ることは大変嬉しいことです。私の教室ではどなたも楽しそうに筆を運んでいます。それが 私にとっても幸せなことになるのです。  鎌倉は文人墨客が住む文化的な町です。散策の折り出会う露地の生け垣にも……。  古都のたたづまいを感じ、いつまでも愛していたい鎌倉です。
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