鎌倉にゆかりのある方にお話を聞く…第16回 My 鎌倉
今回のゲスト
ピーター・ミラーさん(版画家)
 ミラーさんは鎌倉在住の版画家。ご自分で撮影した写真をベースに、特殊な薬剤を使ったエッチングで鎌倉の景色を作品にしています。近日中に作品集も出版されるそうです。そんなミラーさんの目を通して浮かび上がる、鎌倉の不思議な魅力についてお話を伺いました。

「過去と現在のコントラスト」

 私は10年間東京に住んでいたのですが、環境のいい所に住みたいという思いが常にありました。3年間方々を調べて鎌倉に移住することに決めたのですが、緑も多く歴史や文化も身近に感じられるこの街はとても素晴らしいところです。ただ、私の出身がペンシルベニア州のピッツバーグなので、夏の暑さはかなり厳しいといえます。その分私にとって寒くない冬は、好きな季節です。今年の2月の大雪の時には、家の前から八幡山まで山スキーで楽しみました。近所の方は、大きなカメラを持って道路をスキーで進む私を見て「何をしているんだろう?」と不思議がっていましたが。
 私が版画家になったのは鎌倉に引っ越してきてからです。鎌倉という土地柄にインスパイアされて始めたのですが、技術的な面では以前にしていた仕事で取り入れた、紫外線に感光して硬くなるジェルを使って作成しています。私の版画は写真を元にしたグラフィカルなエッチングです。いろいろな機械を買い込み1年間研究開発をしたあと、初めての個展を鎌倉の駅近くのビルを借りて開き、その後東京、アメリカ、ヨーロッパで個展を開きました。アートはコミュニケーションだと思っていますから、去年からはウェブサイトも作り、世界各国のいろいろな人たちに見て貰っています。もともとは版画の活動は鎌倉で広がる活動にしたかったという気持ちがありました。
 また、鎌倉が持つ歴史というものも重要です。東京にも歴史はありますが、風景がすぐに変わってしまいます。東京の歴史は頭の中にしか残らない。京都も歴史のある街ですが、その歴史は京都の周辺にしかない。離れていて別々なんですね。でも、鎌倉は生きてる。歴史があって、それがちゃんと街に入っています。例えるなら、海。今年そういう版画を作りましたが、材木座海岸に古い木材の端が残ってますね。そして現代的なものとしてはサーファー。彼らは携帯電話を持ってます。海から携帯電話使ってましてですね、そういう風景が面白いかなって。鎌倉はそういうミックスされたところが面白いと思ってるんです。
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