第72回 My 鎌倉   logo1
今月のゲスト

鎌倉家庭菜園の鈴木 茂生さん

お天道様に感謝し、美味しい野菜を、
豊富な収穫を楽しみたい


[2012.2.29]
鈴木茂生さん


すずき しげおさんプロフィール(活動履歴)
1940年 鎌倉生まれ、市内在住
1980年 「畑貸します」の貼紙を知り合い二人で借り、畑作業を始める。当初は土・日曜日の畑仕事では、ろくな野菜の収穫にならなかった。その後、掘立小屋を作ると仲間の寄合場所となり仲間が楽しく過ごす場所となった。
1989年 畑の小屋不審火焼失農具失う。
1990年

畑を借りた仲間は皆やめてしまい、一人で全部を耕作することになった

2000年 定年退職したので、倉庫小屋設置、耕運機と草刈機等購入、畑周囲の果樹の剪定、 肥料の施し、小さな4区画を大きな2区画に集約整理する。
2005年 「鎌倉家庭菜園」ホームページ開設・栽培記録を残す。
2008年 つれあいの急死後、家事・親の介護等で忙しくなったが、野菜作りがあるからこそ 、日々元気でいられる鎌倉家庭菜園。
             

鎌倉家庭菜園のいきさつ

にがうり 菜園
にがうりの日よけ棚 私の家庭菜園所

今から30年程前から畑を借りて休日に野菜作りを始めました。畑は鎌倉の谷戸にあります。全体は300坪ですが、耕作面積は200坪位です。畑には金柑3本、柚子3本、柿、しし柚子、梅、茗荷、フキ、サクラ、季節の花等を植え倉庫・休憩場所を設置しています。北側斜面に椿の「侘助」を大切にしています。近年は斜面を整備し花やフキを増やしたいと思っています。
務め人の時は冷暖房の部屋の生活でしたので将来はおてんとう様の恩恵を受け自然の中で美味しい野菜づくりをする事が希望でした。
ボランティア活動が無い休日だけの畑作業では作物は良いものが出来ませんでした。
菜園には自分なりの「こだわり」を持って野菜作りを楽しみたいと思っています。無農薬に近い「少量、多種類の多収穫が目標です。」自分の野菜をお世話になっている知人、友人に食べてもらうのも嬉しいものです。 この家庭菜園から楽しい生活をしたいと思います。

◆にわか百姓と云われています

「にわか百姓」という、名付け親は、三浦市向ヶ崎の農家のご主人でした。毎年夏になるとスイカとメロンを購入している。その農家の主人は、自分の農業で、 鍬など使った経験がないといっていた。又大型機械を導入した専業農業ですので、 私の趣味的な野菜作りの相手ではないのにある日、ご夫妻で私の畑へ訪ねて来てくれ たことがあった。
その後、知人が三浦の農家を訪ねた時、「にわか百姓のあの人」は元気かと、聞かれ た話しをしてくれた。この時から「にわか百姓」の言葉が私になぜか気に入っている言葉です。

お天道様へのこだわり

獅子ユズ 私が60歳を迎えた記念に、鎌倉の光明寺の「お十夜」で買って畑へ植えたものです。
この獅子ゆずは「金運」福を呼ぶといわれます。家の西の方角に置くと幸せ一杯になるそうです。
特に「しわ」が多い程良いそうです。
「獅子ゆず」は、新年に玄関に飾り縁起にあやかりたいものです。
又収穫品からジャム系の加工食品へチャレンジしています。
獅子ゆず

「健康寿命」とは「健康で自立 した生活を送ることのできる期間」のことですが、日本の男性の平均健康寿命は男性72.3歳で平均寿命は78.63歳とのこと、この差6年は要介護や寝たきり状態など「不健康期間」というそうです。人生の終末のこの6年間は、みじめでならない。その為に早くから「健康増進、発病予防」の為に、お天道様の下での家庭菜園をすることに意義あるとして始めました。
私の畑はお天道様の陽光を朝から晩まで十分いただく場所ではありません。北側に山、南側に山、東側も山で朝日が昇ると畑に陽光が当たり始めるという谷間、谷戸にあります。この谷戸では家庭菜園を数人が楽しんでいます。初めて谷戸に来た人は、鎌倉にこんな風情のある所があるとは思わなかったと驚き、喜んでくれます。
野菜作りにはお天道様様の光がまんべんなく当たる場所が望ましい。野菜の種類は多く、日当たりを好む種類、日当たりの悪い場所を好む種類、湿地を好む種類などいろいろあります。そこで、日本の食料自給率は40%だそうですが、大げさだが、家庭菜園をやるからには努力して野菜の生産量を上げることにしています。
太陽のないところでは満足な野菜を作ることできませんが、夏の野菜の多くは一日中太陽の光を好む野菜で、秋から早春に収穫する野菜は半日かげりでも作れる、また日陰でも作れる野菜もあり、この環境に合わせて出来るのが、私の家庭菜園の良さと思っています。野菜作りには日当たりが何よりです。だから「お天道様」にこだわるのです。
お天道様のお蔭で、私も元気に野菜を作りができる。作り過ぎた野菜を配ると、喜んでくれる知人友人がいる。それは御世辞でもいい、おいしいと喜んでくれる。一人での畑作業は、他人に気兼ねはいらない。終日をお天道様の下で過ごせることがなによりです。
「お天道様」の書き出しで、気に入った詩がありました。この詩が好きです。

お天道様さまの光を一ぱい吸った
座ぶとんのような人
あなたがそこにただいるだけで
空気があかるくなり
あなたがそこにただいるだけで
みんなのこころがやすらぐ
そんなあなたに
わたしもなりたい

      相田みつを
 
スナップエンドウ
スナップエンドウ


家庭菜園への栽培こだわり

野菜畑 花
ブロコリー栽培 菊いもの花

自分の手で作った野菜は食卓を彩り、収穫した喜びは家族にも歓迎され、なんといっても,新鮮な旬の味は、姿、形は八百屋と比べて、見劣りしても収穫の時は捨てられない。四季折々の採りたての風味は、とうていその比ではありません。
野菜はビタミン、ミネラルを含み体内の酸性化を中和するアルカリ食品です。その栄養価を保つのが新鮮野菜です。家庭菜園だからこそ、その都度収穫できることが強みです。
作るからには、自家消化量以上に収穫したい。又御世辞にも、虫食い、見てくれの悪い野菜を喜んで食べてくれる知人友人がいますので、野菜を配る楽しみを続けている。
農薬を使わない安心安全無農薬野菜作りは理想ですが、現実は病気や害虫による被害があります。勤人の頃は、畑に行く日が土日限定となり、天候の左右により作業が出来なくなり、ろくな野菜の収穫にならなかった。「野菜は足音を聞いて育つ」と言われ、畑の見回りが大事です。新芽の頃は特に注意が必要です。葉が害虫に食われていないか、野菜の葉を裏返して虫や卵があれば手で潰す。被害が多い場合、薬剤散布は1000倍に薄め、慎重かつ早く処置することにしている。翌日雨ならすぐに薬剤を散布する。(雨なら散布しても葉の薬剤は雨にながされしまう)
土作りの畑は関東ローム層の土、乾燥が続くと硬くカチカチになり、雨が降ればべとべとになり、始末の悪い畑ですが長年堆肥を入れたので良くなった。土作りは堆肥、牛糞、鶏糞、米ぬか、配合肥料を施す。病害虫への抵抗力、野菜自体のうまみ作りにこだわってきた。うまい野菜作りのこだわりには、米ぬかを薄く、何度も散布して耕運機で敷きこむことでにしている。化成肥料はあまり使わない。
畑は堆肥の投入は大事、堆肥用の古畳の置場には常時20枚程置いてある。これを解体し、手押切機で10センチ程度に裁断する。処分野菜は集積場所で藁と混ぜて堆肥にする。畳だけの堆肥、購入する野菜用堆肥、鶏糞堆肥などを活用している。購入堆肥投入目安は畝1列約10mに20?を入れる。藁は春先はジャガイモ植付け時に種の上に藁を乗せる。夏は敷き藁として地這きゅうり、金絲瓜(そうめんかぼちゃ)、かぼちゃに利用する。使用後堆肥となる。堆肥や肥料の購入先はJAが多い。昨年(23年)春先から夏にかけて堆肥に放射能被害があり一時出荷停止された。
土壌の酸性度の中和には苦土石灰の替わりに、畑で草取した物を乾燥させて焼却灰にしたものを用いている。また古畳を焼却してその灰を散布もしている。苦土石灰は畑の土が固くなりやすいので避けている。
種の蒔き方については、「良苗半作」の諺がある。(よい苗づくりが良質の野菜を得るコツ)種蒔をする前の準備を「待肥」と云って、1〜2か月前に焼却灰、堆肥、元肥を入れて畑を耕し置くことで、種蒔や苗を植付けると既に土はなじんでいて順調に成育するのでこの方法もこだわり作業。ニガウリは3月に準備し5月に移植するが、5bの間隔に2本で十分、収穫は良好。畑に直まきする時は、天気の良い日は午後に、明日雨模様の場合は前日に種蒔をするのがいい。種を蒔く時は溝の下地に水を多めに撒いて土をかけ、種を蒔くと以後の水やり不要。
蒔き方には「すじ蒔き」と「点まき」があり、大根や豆類は「点まき」、ビンの底を押付けた穴に4から5粒蒔いている。すじ蒔きは平うねに一列の溝を掘りその両脇に種を蒔く、種を覆土する前に培養土を被せてから覆土しているが、芽吹きが良いし畝作りの列は朝日が一列に当たる南北の列にしている。またの理由は南側に通路があり通行人の見た目は、野菜の列がきれいに見えるから。無農薬を目指し「少量、多種類、多収穫栽培が目標」。


◆毎年家庭菜園の栽培記録を残している。

野菜

  2007栽培の記録



家庭菜園からの楽しみ

◆畑パーテイーは、雨天でも実施できます。

バーベキュー バーベキュー

畑の休憩場所で野外パーテイーが常時開催出来ます。雨天でも20人のバーベーキューが可能です。燃料は薪を主に使用し釜戸を使用している。木炭も常備して、時によってはプロパンも使用できる様コンロもある。水は涸れることがない自然の水源がある。この自然水を釜戸で沸かして飲料水とするコーヒーもお茶も美味い。怪我をした場合の為に水道水は常時タンク2個分を搬入している。
四角の七輪は優れもので消し炭で切餅を焼いて食べている。木炭の火持ちが良く、干物、焼き鳥、サザエも焼く。石焼いもの壺も便利で、「さつまいも」や「じゃがいも」が美味く焼ける。
パーテーの常連は春と秋に開催をする秋田屋会の面々がいます。生きたたらば蟹を炭火焼いて食べる味は最高です。
飲み物は酒屋が畑まで配達してくれる、夏は生ビールが美味い。パーテーの後片付けが楽なように使用する容器類は紙製品を使用焼却し易いものとしている。
災害の場合にと保存用水やラーメンを箱で置いている。食器類、箸、鍋類も豊富に常備している。万が一の時は食材があれば数日間は避難できる。寝具はないが寝る場所は小屋でランプもある。古畳がたくさんあるので畳敷きが可能。今後用意したいものは発電機が欲しい


■野菜料理へのチャレンジ

◆あかじそジュースの作り方

ジュース
あかしそ
あかじそジュース 赤縮緬しそ
8月は「あかじそジュース」作りが恒例です。
1回に8g〜10g作って家族は毎日これをグラスに注ぎ氷で薄めて飲んでいます。
飲む時の容器はガラスのグラスが良い、注いだジュースを自然の光に透かすと色が鮮やか、女性には好評です。
知人・友人にも配布するために、容器を事前に集めて置きますが、1gか2gのペットボトルを集めるのが一苦労です。
容器が集まり次第ジュースを配っています。
毎年40本程作る計算です。
材料
@ 水     1.8g
A しその葉  300c(赤縮緬しそが色も香りも良い)
B 砂糖    300c(甘さは適時加減)
C レモン   3個分の汁
作り方
@ 水が沸騰したところへあかじぞの葉を入れ3分煮たてる
A 火を止める
B 素早くしそ葉を取り除く
C 直ぐ砂糖を入れ砂糖が熔けるまで煮立てる(約2分程)
D 火を止める
E レモン(3個分)を搾り汁を用意する
F 人肌の温度まで冷えた所へレモン汁を入れる
G 濁った煮汁は透明なピンク色に変色する、出来上り
H 冷蔵庫で保存する
飲み方
ワイングラスなどにジュースを注ぎ氷で薄めて飲む。


◆あかじそジュースの作り方 その2

あかじそジュースを醗酵させるとまろやかな味となりこれまた美味しいものです。 材料
@ 水     1.8g
A しその葉  300c
B 酢     100cc
C レモン   1個分の汁
D 蜂蜜    400c(砂糖でもOK)
E ブランデーまたはリキュール
作り方
@ しその葉をサッーとゆでる
A 1.8gの水を沸騰させた中に@のしそを入れ煮出す
B 色が出たらしそを取り出し良く搾る
C しぼり汁に酢、蜂蜜を入れレモン汁を入れ火を止める
D ブランデーまたはリキュールを少々入れる
E 濾して容器に移し、常温で2〜3日置くと醗酵する
F 醗酵の様子を見て冷蔵庫に入れ保存する


◆エンツァイの油炒め

野菜
エンツァイの茎が材料
今から6年前になるかと思いますが、鎌倉駅前の台湾料理店で食べた時歯応えが良い野菜でしたので店長に野菜の名前を訊ねたら「空心菜」と教わり、種を台湾から取寄せてもらって初めて栽培をしました。
国内ではこの種は「エンツァイ」の名で販売されています。
毎年夏は緑葉野菜が少ないので栽培しています。作付は20m程ですが、収穫量が多いので生野菜で炒める以外に保存用の料理としています。
材料
@ エンツァイの茎 300c
A 油       少々
B 鷹の爪     1〜3本(好みに合わせる)
C 醤油      少々
D みりん     少々
作り方 (金平ごぼうの作り方に準じる)
@ エンツァイの茎を5cm程に切る
A 油で炒める
B 醤油・みりんで味付けする
C 鷹の爪を適時入れ炒め終わり

◆きゅうりの醤油漬け

今年はキュウリが豊作で毎日の収穫量が多く、きゅうり揉み、ぬかみそ漬の他に知人に配っても始末しきれない状況で、中には姿が悪いきゅうりもあり捨てるには惜しいので、何とかならないかと思いながらHPを見ていたらこのような料理法がありました。
早速娘に料理させたら意外と美味い物が出来気に入りました。知人にも喜ばれました。
今年は収穫量の多い期間中この料理が有効活用となりました。
材料
@ キュウリ   1s(約10本)
A 酢       1カップ
B 醤油     2カップ
C 砂糖     1/2カップ
D 四角切コンブ 適量
E 唐辛子(鷹の爪)適当
作り方
@ 上記材料のA〜Dをほうろう鍋で煮立ったら火をとめる
A 食べやすい大きさに切ったキュウリを漬ける
B 唐辛子 数本入れる
C 2〜3時間で食べられる。保存食になる



■菜園の四季おりおり

菜園場に開花するいろとりどり野菜の花々を楽しむ、又季節感を感じる素晴らしさです。

花々


■菜園収穫品を加工する楽しみ


かぼちゃ 大根
 カボチャの収穫  沢庵大根の干し
畑で収穫される野菜等は、日持ちする漬物や煮物などにチャレンジしています。

◆春 3〜5月 水ふきの煮物、ふきの醤油煮
◆夏 6〜8月 きゅうりのナンプラー漬、オクラのピクルス漬、きゅうりのきゅうちゃん漬、しょうがの甘酢漬
◆秋 9〜11月 小松菜の塩漬
◆冬 12〜2月 たくわん漬、はりはり漬、獅子ゆずの甘煮、菊芋の味噌漬、ゆずのポン酢、金柑の甘煮、からしな漬、こかぶの酢漬、大根のいちょう切り甘酢漬


■今後の野菜つくりへのチヤレンジ

野菜と花

野菜の種には、大きく分けて固定種とF1種(エフワンしゅ)というのがあります。野菜の種子はF1(一代交配種の略)が主流です。日本で売られている野菜のほとん どがF1という種苗会社でつくられた規格野菜をつくるのに好都合な種です。
「F1は異なる性質の種を人工的に掛け合わせて作った雑種の一代目。種を自家採集できる固定種に比べF1種は自家採集しても同じ性質を持った種を採ることができない。ただし、固定種は形や大きさ、成育期間がそろいにくい。栽培や自家採集に時間 と手間がかかる。一方のF1種は均一な野菜ができ大量生産、大量輸送、周年供給などが可能で市場での扱う野菜の規格化がF1種人気を高めた。」(神奈川新聞記事より引用)
固定種は子孫をつくることが出来るが、F1種は子孫をつくる能力がなくなった野菜 です。人類にとってこのような野菜は健康で安全性があるのでしょうか。日本の各地の風土に根ざした昔ながらの伝統野菜とか地域野菜、たとえば聖護院大根とか練馬大根とか,三浦大根などなど、土地の気候風土と、作り方に適応して生まれてきたものがありました。でも地域の伝統野菜までもがF1種化しているという。
F1種の青首大根を漬けると青いところが黒ずむ、大根は水っぽくて甘い、煮るとすぐ煮えるが煮崩れする。昔の大根は硬くて辛い(煮ると甘くなる)と記憶する。
家庭菜園の基本は、まず良い種でしょう。自分で食べる家庭菜園の野菜は、自分や家族の健康のためのおいしい野菜を作るなら、家庭菜園の種は「固定種」を栽培してみたい。
固定種の「日本法蓮草」は、九月彼岸頃にトゲのある三角形のタネを水に浸けて蒔いてからおよそ三ヶ月かかって育ち、お正月頃に食べる冬野菜でした。根が赤くて甘く、生食できるほどアクがなくておいしいのですが、葉は薄く切れ葉でボリュームがなく、寒くなると地面に張り付くように広がって、収穫に手間のかかる野菜でした。
今年の夏は、地這きゅうり、秋は大根、こかぶ、ホウレンソウに挑戦してみたい。
   
■リンク集
◆今回のMy鎌倉では家庭菜園の鈴木茂生さんをご紹介しましたが、「鎌倉歩け歩け協会」の会長でもあります。
鎌倉歩け歩け協会

     
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