第46回 My 鎌倉  
今月のゲスト


正司 朋子さん


萌窯(もゆるがま)で作陶し
萌窯陶芸教室を主宰する

[05.08.20 鎌倉市小町の萌窯にて]

  正司 朋子さん

しょうじ・ともこさんのプロフィール
昭和32年(1957年)生 青森生まれの、横浜育ち
昭和57年(1982年)陶芸家の平野トシ子に師事
平成 7年(1995年)鎌倉市雪の下に萌窯(もゆるがま)を開く



■生まれは青森


私の生まれは青森市です。父の仕事の関係で、青森に赴任しているとき生まれたのですが、1歳のとき、横浜の中区小港に引っ越してきました。
小中高と横浜の学校に行き、大学は千葉大でした。
卒業してすぐに会社勤めをしました。

■陶芸の道に入るきっかけ


萌窯 私は平野トシ子先生との出会いによって、思いがけずに陶芸の世界に入りました。
平野先生は女流陶芸家のはしりの方で、伝統工芸会の初の女性会員の三人の内の一人で す。
初めてお会いした時に、おもしろいおばあさん先生だなと思いました。

1982年に朝日カルチャーセンター横浜がオープンし、その時、平野先生が主宰されていた「北鎌倉窯」がカルチャーセンターの協力施設となりました。
私はカルチャーセンターの一期生でした。

会社勤めも遊びも十分に楽しんでいた1987年、会社の希望退職募集にふいとのっかり、勤めをやめてしまいました。

1年間遊び暮らすつもりが、平野先生から「ちょっと手伝え」と言われ、ずっぽり両足 をつっこんで今に至っています。
平野先生は1994年に亡くなられ、この年の12月に北鎌倉窯は閉じました。

■萌窯の発足


陶芸にどっぷり浸かっていた私は、何とか自分で窯を立ち上げたいと願い適当な家を探していました。
  • 駅から歩けること
  • 地面があること
  • 雨風がしのげる屋根と壁があること
などが条件で何人かの方に声を掛けていたところ、この家が見つかりました。
最初は1〜2年の約束で一階だけをお借りして、1995年に萌窯が発足しました。

(萌窯玄関)
萌窯玄関

■萌窯の日常


萌窯には助手が居ないので、いろいろな雑用は、その場に居合わせた人に手伝ってもら います。

たとえば、注文していた陶土が着けば、その土の処理を一緒にやりますし、釉薬がなくなれば、一緒に調合し、窯詰や窯出しも手伝ってもらいます。
ですから、生徒さん達は自然と陶芸全般についての技術や経験を身につけることが出来ます。

陶芸の基本的な工程は、土つくり土練り成形釉掛け窯詰・窯出などです。
ロクロは成形のための道具の一つですが萌窯は7台の電動ロクロを備えています。

(土練り)
(ロクロ)
(釉掛け)
土練り
ロクロ
釉掛け

(釉掛け2)
(釉掛け3)
(窯詰)
釉掛け2
釉掛け3
窯詰

ただ、窯に火を入れてから、素焼きで約10時間、本焼きで約20時間の間の窯の番は私の仕事だと心得ています。

■クロノスとカイノス


(正司朋子の作品1)
正司朋子作品1
(正司朋子の作品2)
正司朋子作品2
(正司朋子の作品3)
正司朋子作品3
  萌窯(もゆるがま)の名前ですが、平野先生から頂いた「陶萌子(ともこ)」からとりました。

私が陶芸の世界に入ったきっかけは、先ほど申し上げたように、平野先生との出会いからです。

思いがけず陶芸の道を進むようになったのですが、萌窯がこの場所にできたのも、 紹介してくださる方がいたからです。

そこから不思議なご縁ができ、この家との間の関係がどんどん深まって、知らず知らずのうちに、一階から二階を含めて、全てをお借りできるようになってしまったのです。

このように、陶芸の世界に入り、窯を築き、萌窯と命名したのも、全て相手側からさらに深い関係になるように迫って来た結果でこうなったというのでしょうか?(笑い)。


80才になる生徒さんが言うには、ヨーロッパには時に関して、「クロノス」と「カイノス」という概念があり、私のさまざまな出会いはクロノスで、その連鎖がカイノスというのだと言っています。

萌窯には現在23名ほどの生徒がいます。
みなさん、比較的長続きしていますので、2〜3年の人は新人扱いです。

■萌窯陶芸教室のモットー


土にふれて楽しい気持ちいいがモットーです。
おおげさにいえば、陶芸は地球の一部、宇宙の一部と触れあうという感覚です。(笑い)

また、地域社会に、そして世界にひらかれた陶芸教室を目指しています。

生徒さんそれぞれが、何気ないときにふれてみたい作品を自分で造ることが出来るよう に育って欲しいと考えます。
お料理が好きな人は自分でつくった器でお料理を頂き、お花が好きな人は自分でつくった器でお花を生け、何気ないときに自分でつくった陶器にふれてみるというのが良いですね。

(生徒の土練り)
(生徒のロクロ1)
(生徒のロクロ2)
土練り
生徒のロクロ1
生徒のロクロ2

(生徒さんと)
生徒さんと


■萌窯陶芸教室の体験教室


萌窯陶芸教室は、陶芸に親しんでいただくため、さまざまな内容の体験教室をしています。
  • 親子でつくるカレー皿
  • 高校茶道部で文化祭で使う茶碗づくり
  • 外国人の方々の日本文化にふれる陶器づくり
  • 結婚記念日に二人の記念作品づくり
などです。

(親子でつくるカレー皿)
(茅ヶ崎高校茶道部員の作品−素焼段階)
親子でつくるカレー皿
茅ヶ崎高校茶道部員の作品


■陶芸家として


私は、最近、先人の作品を拝見して触発されることがよくあります。
いろいろな先人の作品にふれて、おおらかな作品には特に惹かれます。
自分もそういう作品を創ってみたいと思うことがあります。
今、私が興味を持って取り組んでいるのは北宋の時代(西暦約900年〜1100年)の茶碗 です。
そして、その茶碗に触発された「新たな茶碗の創造」です。

これからの私の萌芽がこの中にあるような気がしていくつかの茶碗を創り始めました。

(北宋の茶碗を思いながら)
(触発されて創造した作品)
北宋の茶碗を思いながら 創造した作品

このシリーズで、私の新たな創造の世界が拓かれそうな予感がします。


■正司朋子の作品


(正司朋子の作品4)
(正司朋子の作品5)
正司朋子の作品
正司朋子の作品

(正司朋子の作品6)
(正司朋子の作品7)
正司朋子の作品6
正司朋子の作品7


■年に一度の萌窯作陶展


萌窯は年1回、私と生徒の作陶展を開いています。
今年は、5月26日から29日までの間、第11回作陶展を開き、多くのお客様をお迎えしました。

作陶展でのお客様の反応は陶芸を志すものにとって大きな励みになります。


(萌窯作陶展1)
(萌窯作陶展2)
(萌窯作陶展3)
萌窯作陶展1
萌窯作陶展2
萌窯作陶展3

(萌窯作陶展4)
(萌窯作陶展5)
(萌窯作陶展6)
萌窯作陶展4
萌窯作陶展5
萌窯作陶展6

(第11回萌窯作陶展を終えて)
第11回萌窯作陶展を終えて



萌窯のホームページ

萌窯(もゆるがま)
鎌倉市雪の下1−8−15
小町通を八幡宮近くまで進み
最後の路地を右折して2軒目

電話:0467-24-4092
HP http://moyurugama.com/
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