●庚申塔の彫物について
−これらは鎌倉特有のものではありません−

(1)主尊として像が彫られているもの

青面金剛像
(しょうめんこんごう)
四または六臂(二臂や八臂のものもあるという)で、手に、輪宝、鉾、羂索、蛇、弓矢、金剛杵、日月、劒などを持つ。邪鬼を踏むものも見受けられる。

青面金剛については「陀羅尼集経」にあり、その恐ろしい姿から、邪気や悪病を払うご利益が期待された。
とくに伝尸(または、伝屍:いずれも「でんし」と読み、結核の古称)病の予防治癒を祈ったという。これが、三尸とつながったものとされる。
その他猿田彦大神、帝釈天、大日如来、阿弥陀如来、釈迦如来、薬師如来、観世音菩薩、地蔵菩薩、など。
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(2)主尊として文字が刻まれているもの

「庚申」等の文字「庚申供養塔」 「庚申塔」 「庚申塚」など。
「青面金剛」等の文字「青面金剛王」 「青面金剛童子」 「大青面金剛」 「青面金剛尊」 「青面金剛神」 「青面金剛塔」など。
「猿田彦」の文字「猿田彦大神」 「猿田彦命」などで、「猿田彦大神」を刻んだものが代表的。

猿田彦は天孫降臨の際に道を先導したことから、やがて、旅の安全祈願の対象となり、道ばたに立てられるようになった。
種子(しゅじ)が刻まれたもの。 種子とは、如来や菩薩を梵字で標示したもの。
たとえば、「キリーク」(阿弥陀如来)、「ヴァン」(大日如来)、「カ」(地蔵菩薩)など。
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(3)その他の彫り物について

三猿
(さんえん)
見ざる、聞かざる、言わざる。三匹のものが多いが、それ以外のものもある。邪気を払う力があるという桃をもつものや、羽織を着たり、御幣をもつものなどがある。

猿との関係は、諸説あり
  • 庚申の「申(さる)」から
  • 庶民に身近な山王信仰との習合で、その使いである猿も取り入れられた、とするもの
  • 三尸に告げられないように「見ざる・聞かざる・言わざる」に由来するなどがある
暁を告げ、時刻を知らせる動物として親しまれ、夜を徹して行われた信仰との関係からとされる。また、申の翌日は「酉」からともいう。
邪鬼災いを調伏する青面金剛のシンボルとして、両足の下に一匹ないし二匹踏みつけられている。
日月上辺の左右につくものが多い。こちらも、夜を徹して行われた関係で、日や月への率直な信仰が庚申信仰にも含まれたのであろう。
童子青面金剛に侍す童子。(図では、左右の端にあるものです。)
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