山  門 (鐘  楼  門)


鐘楼門

鐘楼門(しょうろうもん)は、鐘楼が付いた門です。 二層で、下層が門、上層に梵鐘をさげる堂があるものが 多いと思われます。市内では、浄智寺のものが唯一です。 再建されましたが、新しい門も旧建築の姿をよく残していますので、比較しながらご紹介します。
     浄智寺の旧鐘楼門は下層が桁行約3.3メートル、梁間約2.8メートルで、ともに一間でした。正面には連子窓を両側に設け、吹放しで、以前は扉があった跡がありました。(以下、写真の左が現在、右が旧です。)


上層も、吹放しで、火灯枠と呼ばれる枠のついた壁で囲まれています。 外側に肘掛縁と高欄がつきます。中には、延宝七年(1679)の銘のある口径70センチ程の梵鐘が下がっています。 屋根の形は入母屋です。
旧のものは、江戸時代後期(十八世紀後期)のものだそうですが、上層の部材にはさらに古い十七世紀と思われるものが使われており、”由緒ある堂の遺材を再用したのかもしれない”といわれていました。

     上層の軒には石川丈山(1583-1672)の書といわれる扁額、(右から読んで)「山居幽勝」(仏の世界にあって、深く静かですばらしい地にある(いる)、といった意味でしょうか)が架かっています。 石川丈山は江戸初期の漢詩人、書家です。詩吟をする人なら必ず吟ずると思われる「富士山」の作者です。
      「富士山」
    仙客(せんかく)来り遊ぶ 雲外の嶺(いただき)
    神龍(しんりゅう)棲み老ゆ 洞中の淵
    雪はがん素の如く 煙は柄の如し
    (「がん」は糸偏に丸と書き、「がん素」は正絹の意味)
    白扇倒(さかしま)に懸る 東海の天