デジタル化最前線!!

2003年2月1日  私が折に触れて読む本は、松井孝典氏の「宇宙誌」(徳間書店刊)で、この本だけはどこを開けて読んでも楽しい。その本のある頁に紹介されている言葉として「文明の便宜を享受しながらそれを非難する偽善者が現れる傾向は文明の衰退の始まりを示すひとつのものである」(高坂正堯氏)という指摘がある。文明への懐疑が文明の質的向上に役立った例もないわけではないとしながらも、この言葉を次につなげている。真摯な意志と努力によって打開しなければならないというのである。
 私たちケーブルテレビに携わっている者にとって、いま大きく日本の放送の仕組みを変えようとしている国家の戦略があり −いわゆる放送のデジタル化− それが大きくのしかかっていて、これをどう乗り切れるかが最大の課題となっている。わが国に与えられた電波の帯域を使って日本は放送とか通信を行い多くの人々に便宜をもたらしている。困ったことに昨今、大きく普及して(2人に1人)いるものに携帯電話があり、これらの為にこの電波の帯域を空けないとどうにもならなくなりそうだというのである。その為には放送をデジタル化してより効率的な電波帯域の活用を行おうというものである。 −これが放送のデジタル化である。デジタルは人間が創りあげた「0」「1」からなる記号であり、それは人間に使いよく出来ているそうだ。電波の帯域に置き換えると今までの1ch分が4から6倍程度に圧縮して使えるらしい。放送としては高画質(ハイビジョン)、高音質であり、今までのアナログ放送 −アナログとは地球上にある物、例えば水、空気、電気、熱などであるが− をいずれ廃めて、全てデジタルに変えようというものである。「いずれ」ははっきりしていて2011年である。皆さんが使っている今のテレビは2011年にみられなくなってしまう。
 これは大変なことになった、アナログ放送でKCCが26,000人から32,000人に映像を送っている現状をこの7,8年位に序々に変えていく使命がある。これがKCCのデジタル化である。この12月に1chから12chのアナログ放送がデジタル放送として送られる。勿論、皆さんのテレビ(アナログ)が一夜にしてデジタルTVに変わる訳でもないので、当分はデジタルとアナログの両方を送りつづけることになる。ただ、困るのはそのためにKCCの電波の帯域を広げなければならなくなってくる −これが広帯域化である。この「広帯域化」「デジタル化」は急務であり、頭をかかえて国策を非難したりしている暇はない。その先に私たちが想像もしない放送の世界があり、それが文明に大きく寄与するならば、私たちはこれを真摯にうけとめ、それに向かって準備をしなければならない。
 長くなるのでこの辺でとめるが、とにかく放送の世界では異変が起きている。その最前線の私たちは追い込まれている。皆様の協力なくしてのり切れないのは言うまでもない。

(A・M)

鎌倉ケーブルテレビ広報誌
「チャンネルガイド」
平成15年2月号掲載
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