夜に自らを笑う

12月の絵  ドクターご安心ください。私はまだ運動療法、食事療法を続けてダイエットに勤しんでおります。
 さほどストイックでもない、勿論、ナルシストでもない私は何故こんなことになっているのでしょうか。現在のこの快適な生活を出来る限り維持して素晴らしい老後を指向しているのでしょうか。単純にドクターに脅迫まがいで、成人病の恐ろしさを吹き込まれたせいでしょうか。愛すべき家族のために、家長の私は健康でなければならないと錯覚し始めたからでしょうか。−−−それにしても、ドクター、貴殿の言われる理想の数値はあまりにも私の美学から離れてはいませんか。男はパワーですからね。これでは著しく弱々しいではありませんか・・・。でも、先の健康診断では見事、前年の数値が全てにわたって、素人眼にも格別に良くなっています。「これで油断してはダメよ。すぐ自分には甘くなるんですから」とドクターに変身してしまっている妻、娘も息子も「お父さん、そんなもの食べて大丈夫?太るよ」と四面楚歌の私デス。こんなことが続くと別の病気につかまっちまいますヨ。
 ドクター、それでも続けるべきなんでしょうね。
 食事療法は少し言い訳がましくやってますので完璧ではなさそうですが運動療法は真面目一途、夜の散歩を続けています。スポーツゲームと違って余り面白くないんですね。早足で、ストーカーと間違えられないように凄い装束で歩き回る私を想像して下さい、拝みたくなりますヨ。
 夜の鎌倉山周辺はとても恐い、人間って先がよく見えないと臆病になってダメなんですよね。とくに私は池などの周辺を通ると、飛び込みたい誘惑にかられるんですが(能動的な意味ではなく)きっと私の祖先は、キレイな女性と池に入って心中でもしたに違いないと、ほぼ確信しております。行き交う若い女性は必ずサッと携帯電話を耳に当てて通り過ぎるのですが、聞けば”痴漢除け”の手段としてらしい。勘弁して下さい。こんな一途な痴漢が何処におりますか!
 ドクター、私のこの生活は何時まで続くんでしょうかね。寒い日がやってきていて、雪の日もあるんですヨ。

(A・M)

鎌倉ケーブルテレビ広報誌
「チャンネルガイド」
平成13年12月号掲載
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