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新刊書 鎌倉の橋と路 のご紹介



今月のトピックス

編集部員の乱れ橋こと 大西清治 さんがかまくら春秋社から「鎌倉の橋と路」という本を上梓したので紹介します。


中世鎌倉の史跡を歩く
 鎌倉の橋と路




出版元:かまくら春秋社 著者:大西清治
鎌倉駅付近の書店及びamazon等の通販にて取扱中 価格\1200


  • 書名:鎌倉の橋と路 

  • 目次

    1. 第1編 中世の橋と鎌倉
      1. 第1章 中世の橋
      2. 第2章 鎌倉の橋
    2. 第2編 鎌倉の橋と切通
      1. 第1章 鎌倉の路
      2. 第2章 鎌倉の切通
      あとがき
      参考文献

大西清治さんのプロフィール

大西清治さん
1926年神奈川県生れ、鎌倉在住。
1951年早稲田大学理工学部土木工学科卒業。

建設会社入社後、技術部長、名古屋支店長、常務取締役工務部長を歴任。

(社)土木学会PC委員会委員。建設省開発会議施工部会委員。工業技術院JIS・PC橋桁改訂委員会委員。(社)PC技術協会理事。
共著「コンクリート便覧」他。

現職:技術士(建設部門)

大西さんのホームページ 鎌倉の史跡を歩くにリンク

大西清治さんから特別寄稿

鎌倉の橋と路について

 四十数年に亘るPC橋の仕事人生を終え、自分の自由な時間をもてることが出来ました。早速、メタボ対策を兼ねて鎌倉の史跡を求めて歩き始めましたが、鎌倉に移り住んで七十数年の歳月が経過したのに、鎌倉の歴史も何も知りませんでした。
 街角のポスターに惹かれて鶴岡文庫の扉を叩くと、扉の中には鎌倉幕府の公式記録「吾妻鏡」を始めとした郷土鎌倉の歴史への路が開かれ、私の鎌倉の歴史探索が始まりました。
 史跡を歩くうちに、次第に興味が湧き、史跡調査のメモも増えてきました。一方、七十歳を過ぎて始めたインターネットのホームページの勉強も、遅々としてではありますが何とか進み、ホームページのコンテンツを決める時間が迫ってきました。当時、神田の古本屋街を歩き、手に入れた地誌「新編鎌倉志」の「鎌倉十橋」を手本にホームページ作成に 着手し、「十井・五名数」・「七切通」等と名数の項目を増やしました。更に、頼朝が妻政子の懐妊の無事を祈り計画建設した若宮大路が、現代のモータリゼーションの時代に十分に耐える素晴らしい路であることを知り、中世鎌倉の路に興味を持ち調べました。最初に、近世の「鎌倉絵図」四十六葉を調べたがこれからは中世鎌倉の路を知ることは出来ませんでした。
 次に(財)日本地図センター発行の明治前期測量2万分の1フランス式地図の復刻版、「鎌倉東部」・「鎌倉西部」を入手しました。明治初期に作成された地図ですので、横須賀線も敷かれていない近世の現状を伝えていました。この地図に中世鎌倉の若宮大路他の路を重ねると、往時の路の様子が浮かび上がってきましたので、この明治初期の測量図を基に中世鎌倉の路の考察を試みてみました。



読後感    編集部員 亜郁

 京都と並んで鎌倉五山があるのは、教科書で習っていましたが、「鎌倉十橋」 があることを知ったのは、『鎌倉の名数』(長峰忠雄著、鎌倉市民社)からで した。その十橋も書かれているこの本を私が、大西大先輩から恵贈されたのは5月初旬のことです。
 内容は、「中世鎌倉の史跡を歩く」と冠してあるように、『吾妻鏡』『新編鎌 倉誌』『相模国風土記』などの古文書を渉猟し、また、自ら足を運んで、中世以 来の橋や市内の路と切通などを紹介しています。
 市内には「十橋」や「十井」「七切通し」などがあり、私も歩いて見て回った り、走り仲間を案内して七切通しを1日で攻略したこともありました。たとえば、 鎌倉駅近くにある御成小学校の外れには、佐助川に架かる十橋の一つの石製の 欄干の小さな「裁許橋」があります。これは、この近くにあった「問注所」(鎌 倉・室町幕府の裁判所)に因んでつけられたそうですが、これを初めて見た時は、 800年前の裁判所の建物が髣髴と浮かんでくる思いがし、感激したのを覚えてい ます。その他、本書には、興味深い地名や寺社名などが連ねられています。
 そして、所載の写真はもとより、ご自身がパソコンを駆使して作られた詳細地 図も載っていますので、読者がこの本を片手に巡り歩くのにも便利かと思います。

 筆者は、ご高齢ながらパソコン講座を受講し、HP を作成。それが本書のベー スとなっていますが、お仲間との「地域貢献活動」の一環としての「高齢者のIT活 動支援」の企画が、「NPO法人鎌倉シチズンネット(KCN)」の構想に結実し、 二代目理事長をも勤められました。そして、経済産業省後援の「シニアネット・フ ォーラム 21 in ひろしま」に参加し、ワークショップで講演もされていらっしゃ います。(あとがき参照)。
 さらに、お若いころ、「城ヶ島大橋」の建設にもたずさわり、「思い出の作品 となった」とも書かれています。お宅の近くの細流に架かる「乱橋」をハンドル ネームとされていらっしゃるのも、「橋」へのこだわりのなせるわざでしょうか。





制作:ひろさん

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