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今月のトピックス

編集部員のりんでんさんのご主人が朝日新聞社から「わが東方見聞録」という本を上梓したので紹介します。


わが東方見聞録の紹介




出版元:朝日新聞社 著者:長谷川洋二 全国有名書店で発売中 価格\1,200


  • 書名:わが東方見聞録 ――イスタンブールから西安への177日

  • 目次

    1. トルコ・レバノン・ヨルダン・シリアの旅・・・33日 (書中:概要のみ)
    2. クルディスタン(トルコ東部)・イランの旅・・・26日
    3. 西トルキスタンの旅・・・37日
    4. カラコルム・東トルキスタンの旅・・・46日
    5. ティベット・河西回廊・西安洛陽再訪の旅・・・35日
        (うち「ティベット18日」・・・書中:概要のみ)

  • 紀行文のルート図




長谷川洋二さんのプロフィール

長谷川洋二さん
1940年に新潟市に生まれる。
コロンビア大学で現代史専攻し、M.A学位(修士号)・M.Ed.学位を取得。
中頃、プラント輸出の仕事に従事、
ほかは教職を奉ずる。

著書に、A Walk in Kumamoto: The Life and Times of Setsu Koizumi, Lafcadio Hearn's Japanese Wife (Global Books, Kent, UK 1997)、
および 『小泉八雲の妻』(松江今井書店 1988)がある。
現在、鎌倉市浄明寺に在住

長谷川洋二さんから特別寄稿

 妻はゲラ校正段階で初めて精読し、「こんなに気持ちよく読めて、こんなに面白いとは思わなかった」と言って、私と編集者を喜ばせました。身びいき抜きでも、そのように読んで頂けたらと願わずにおれません。

 私と編集者の危惧は、この本の持つ「時勢からの超然性」です。それを私は「自由の風が渡る異郷をさまよう」に始まる序文で、真っ正直に表現しました。編集者は、その上を行って、その文を「帯」に刻んだのです……「鮮やかに覚えているが、二十三歳のとき、自分が真に喜びを覚えるものは何かと自問して、『自然の美・歴史・女性』という心の底からの声を聞いた。最後のものは、さて置かなければならない。しかし、この度の長途の旅行に、最も心に掛けたのが、アジアの奥なる大自然であった。私が、地中海から陸路「長安」に向かっているのも、また雄大な山々や渓谷の壮麗に惹かれて、ティベットの奥深くに往来しているのも、同じ思いから来ている」と。

 全体として、「旅の歌」と呼べるような明るく軽やかな紀行ですが、それは同時に、時勢から離れて生きる者のユニークな心を伝えると言えるでしょう。ただ、私は今、ミニヨンが西洋人の心を、陶淵明の詩が中国人の心を、あれほどに捉えた事実を思い、その特異性こそ、時勢の中で堅実に生きる人々の心に働きかけもしようと、本の「行く末」を明るく展望しています。


読後感想文

鎌倉シニア通信編集部 湘南太郎


60歳の春、長年の勤めから解放された著者は「自由の風が吹き渡る異郷をさまよう・シルクロードの旅」へ出る。
若い頃、北米大陸をグレイハウンド・バスで縦断し、更にエジプト、ギリシャ、イタリアの「歴史の旅」を楽しんだ著者は今回の東方遠征で人生の「巡礼の旅」を完結させるつもりであった。

しかし、自由の風が吹き渡るはずの中央アジア諸国は2001年の米国同時多発テロ以降、アフガニスタン、イラン、イラクなどイスラム過激派が世界中を席巻し外国人旅行客を受け入れるどころではなくなりました。
そんな状況下でも著者は持ち前の行動力でビザを取得しバス、タクシーなどの交通手段を調べ、宿泊場所の確保に努めます。高山を越えて次の国へと向う時、入国できる保証のないまま出発します。
昼食も食べないまま、国境を通過し、ようやく確保した民宿で、土地の料理と共にワインで乾杯するシーンでは読者の私も快哉を叫びました。
広大な砂漠に点在するオアシス、カレーズ(地下水道)、キャラバンサライ(隊商宿)、チャイハナ(茶店)などの珍しい光景を紹介して貰いました。

旅の喜びは「自然の美・歴史・女性」の提言どおり険阻な山脈、緑豊かなオアシス、華麗な宮殿跡の風景に加えて、中央アジアの多数の民族の交流による政治、宗教、文化の歴史をこの書で学びました。




制作:ひろさん

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