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鎌倉の散歩道−45
鎌倉の赤丸ポストを訪ね、風景印を押すミニ旅(1)

材木座から大町へ



 散歩道の新シリーズをスタートしたいと思います。 当鎌倉市には比較的多くの赤丸ポストが残っていると聞いています。 それを訪ね、合わせて郵便局にある風景印も押すミニ旅。
今までの散歩道とは一味違ったものになればいいのですが…。

 鎌倉と大船の2つの本局があり、それぞれの所管の特定郵便局と赤丸ポストは、鎌倉本局に13局と28箇所、大船本局には20局と9箇所あるようです。 両本局から頂いた「取集時刻表」からカウントしました。


 第1回は鎌倉本局とその管轄下にある材木座郵便局とコース上にある4つのポストを訪ねることにします。

 本局は鎌倉駅から歩いて5分もかからない若宮大路に面してあります。本局は、東京中央郵便局がそうであるように、駅の近くに位置してますネ。

(鎌倉駅)
(鎌倉郵便局)
鎌倉駅
鎌倉郵便局

 鎌倉郵便局に入り、「風景印」を押してもらうことにしました。風景印とは、正式には「風景入り通信日付印」というそうで、「普通の黒い消印より二回りほど大きい直径36ミリで、インクの色は茶褐色(正式には鳶色と呼ばれる)、その土地の名所旧跡や特産品などが描かれた美しい消印」*1)をいいます。

(鎌倉郵便局の風景印)

鎌倉郵便局の風景印


 鎌倉郵便局には、厳密に言うと2つの風景印があるそうですが、図柄は同じで、日付に下線があるかないかの違いだそうです。何故、2つあるのかの説明がありましたが、よく分かりませんでした。で、その風景印ですが、ご覧のように、長谷の大仏と稲村ガ崎への海岸線と花が書かれています。普通はがきに消印を押すという形を取りました。

 では、赤丸ポストを探しに出かけます。先ほどの「取集時刻表」に、ポストがある住所が書かれています。若宮大路を海の方に進むと、鎌倉女学院中学・高校が市体育館と向かい合っています。

 その先に一の鳥居がありましが、2本の柱とも上の方が割れています。ただ、乗せてあるだけだとしたら、近々、起きると言われている、東海沖地震で倒壊の危険性があります。その先、海岸通りの信号を左折すると、滑川に架かる海岸橋。

 海岸に沿って走る134号線が出来る前は、この通りが海岸線に一番近いということで名づけられた、と聞いたことがあります。その先、左側に材木座郵便便局がありました

(一の鳥居)
(材木座郵便局)
一の鳥居
材木座郵便局


 材木座郵便局の風景印は、近くにある光明寺の2つの甍、海にヨットが浮かび、遠くに富士山を望むというスケールの大きなデザインでした。

(材木座郵便局の風景印)

鎌倉郵便局の風景印


 突き当たった右角は、市内で唯一の新田義貞開基の九品寺です。境内には、高さ5m、幅が10m以上もあるナニワイバラの大樹が花をつけていました。

 その先、この近くにポストがあるのではと、お店に尋ねたら、10年ぐらい前にあった、今は、京急の駐車場になっている所にある、と教えてくれました。

 戻りながら、住居表示をたどったら、その方向でした。これは、初っ端から失敗したと反省。材木座郵便局の先の大きな駐車場の先に、初めての赤丸ポストがありました。

 八百屋さんの前です。ポストはおよそ30センチくらいの高さの円筒の大理石の上に置かれていました。投函口の横には、集配時間が書かれた用紙を貼る枠が、半ば壊れて取り付けてあります。

(材木座5丁目)
(妙長寺前)
材木座5丁目
妙長寺前

 また、戻って、九品寺の三叉路を左折します。直進すると、少し水が流れていた溝に長さ1mほどの小さな石造の欄干があります。鎌倉十橋の一つの乱橋です。

 その先、日蓮像が立っている妙長寺の前にポストがありました。このポストは赤ペンキがはがれ、鉄サビが見えてました。1日に2回集めにくると、時刻が書いてあり、「日本郵便が扱う次のもののみ投かんして下さい」と書かれた紙が貼ってあります。

 さらに進むと「水道道」に出ます。横須賀への水道管が埋設している道路です。これを左折し、左にいずみ幼稚園がある四つ角に今日、3つ目のポストがありました。このポストはペンキはがれはありませんでした。

(材木座1丁目)
(大町5丁目)
材木座1丁目
大町5丁目


 今日最後のポストは大町5丁目にあります。そちらに向かっていたら、自転車のおばちゃんから「今日は何曜日でしたっけ?」と聞かれました。  「ボケちゃってね」と。

 その先の安養院の生垣のツツジが見事でした。5丁目は逗子との市境に近く、持参した地図ではよく分かりません。いい具合に、横須賀線の踏切手前に交番があったので聞いたら、踏切のすぐ先でした。

 しかし、目と鼻の先にあるその場所を、大きな地図で探しているのです、2人して。記者はよく町や街道を歩いていますが、小さな街のおまわりさん、駅員、地元の人が地元を知らなさすぎると、何度も経験してます。ここにも日本人の劣化がみてとれるのです。

 ここの赤丸ポストは、民家の塀の中に半ば入り込んでいます。狭い歩道をさらに狭めまいとの配慮からでしょうか。

 来た道を戻り、八雲神社の前を通り、江ノ電踏切近くで身障者がやっている食堂で昼食を摂り、午後からの編集会議に臨みました。




参考文献
*1) 佐滝剛弘著『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書) これは完読しました。
本シリーズ開始に当たって、上記の本のほかに、下記の3冊を求めています。
次回以降、面白い所があれば、紹介したいと思っています。

・加瀬清志『丸型ポスト思い出物語』(信濃毎日新聞社)

・古沢保『風景印散歩ー東京の街並み再発見ー』(日本郵趣出版)

・同 上『東京「風景印」365日』(同文化館出版)



制作:亜郁/太郎  協力:ひろさん

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