最新号
鎌倉の散歩道−26

大船近代100年を歩く(2)
「大船軒」の工場見学と
県立「大船フラワーセンター」

鎌倉市大船は古都・鎌倉市にあって、若干異質な街です。

今回は大船駅西口に、創業107年を越える「大船軒」と神奈川県立「大船フラワーセンター」を訪ねます。

(大船駅西口概念図)
大船西口概念図


大船観音

(大船観音)
大船観音 集合場所は大船駅西口の階段下。
集まった編集部員の7人でした。

十年位前までは氾濫で地域住民を悩ませた柏尾川。
その向こうの高い所に白衣の大船観音が立っています。
東海道線で初めて上京した人が、朝、特急の車窓から目にした観音像が 深く印象に残っていると話してくれたことがあります。
数年前に化粧直しをしているので、落ち着いた白さとなっています。 この観音様の誕生までには、多くの人の観音経への思いと平和への熱い情熱があったようです。
「大船で極楽浄土に渡る」という思いもあったとか。

大船観音は1929年(昭和4年)4月、造仏に着手されましたが、 原型の輪郭が出来上がった所で、不況などで寄付金が集まらず、'34年に中断されました。 1954年(昭和29年)、永平寺管長を設立代表として再興の話がまとまり、3年の歳月と 3,500万円の費用をかけて1960年(昭和35年)大観音像が完成しました。
そして、1981年(昭和56年)から曹洞宗の大船観音寺となったそうです。

本日は後の予定があり、遥拝にとどめました。


大船軒の駅弁工場見学

大船軒のロゴ
鰺の押寿し
 
柏尾川沿いの道を進み、右に折れると大船軒の本社工場です。

前回の散歩道では外回りの見物をしましたが、今回は予約を入れ、今日の見学となりました。
先ず、会議室で会社案内をもとにして、歴史や事業内容の話を聞きました。
頂いたパンフレットには、「鯵の押寿し」や「日本初の駅弁サンドウィッチ」 が書かれています。
鯵は量的確保のため、今は九州産のものを使っているそうです。

白い帽子をかぶり、白衣に着替えての見学です。衛生第一の工場です。 手を洗剤や消毒液で洗ってから現場に入ります。

見学時には、仕事が中断していましたが、ホ−ムで売っているそばつゆや ご飯を炊く圧力釜が数基並んだ部屋がありました。
隣の室ではコンベアで運ばれてくる経木におかずの盛りつけをしていました。
蓋をし、ひもがけまで手作業です。
調理、炊飯、盛り付、包装室などに分かれていました。


(手洗い方法の掲示)
(編集子の手洗い)
(包装室の見学)
手洗い方法の掲示
編集子の手洗い
包装室の見学

(検査室)
(下処理室1)
(下処理室2)
検査室
下処理室1
下処理室2


冷凍(蔵)庫の温度チェック表が庫前に下げてありました。

道路の向かい側に第二工場があります。
ここに入る時も、同じように手を洗い、エア−シャワ−を浴びました。

第二工場はアポロ計画に準ずる衛生管理がなされているそうです。
衛生管理レベルゾ−ニング図が掲げてあり、人の動線、食材の動線、製造された鰺の押寿しの動線、などが描いてありました。
当然、この建物に入る時も2種類の液で手を洗わされました。

(鰺の骨抜き工程)
(包装工程の見学)
(包装室内部)
鰺の骨抜き工程
包装工程の見学
包装室内部

(見学終了後の記念撮影)
白衣姿の編集子


大船軒のホームページ
大船軒


大船軒の見学を終え、道を西にたどります。
第二工場の先に大きな榎があり、その下に六体の地蔵が祀られています。
玉縄首塚です。六体の地蔵の傍に石碑があります。


玉縄首塚


(玉縄首塚1)
(玉縄首塚2)
玉縄首塚1
玉縄首塚2


1526年、安房の武将里見氏が鎌倉に攻め込んで来た時、玉縄城主北条氏時らは 大船の甘粕氏らと共にこの川の畔に出て防戦しました。
数度の戦いで里見氏を追撃できましたが、戦後、両陣営の首を交換して ここに埋め、塚を築いて供養したとか。 大船に姓の多い、甘粕塚とも呼ばれているのはその為とか。

一礼して、今日、最後の大船フラワ−センタ−に向いました。

フラワーセンター

玉縄首塚から大船フラワーセンターまでは歩いて7〜8分の距離です。
フラワーセンターは正式には
「神奈川県立フラワーセンター・大船植物園」といい、 昭和37年(1962)に開園しました。

神奈川県立・フラワーセンター大船植物園のホームページ
フラワーセンター

フラワーセンター概要
フラワーセンターは、神奈川県内の観賞植物の生産を振興するため、昭和37年に神奈川県農業試験場の跡地に開設されたそうです。
既に大正年代から、この場所で改良・育成されたしゃくやく、はなしょうぶなどを中心に、国の内外から収集した優れた観賞植物を栽培し展示していたそうです。

総面積 63,900u  芝生 11,488u 花壇 4,500u 樹園 7,621u

(フラワーセンター概念図)
フラワーセンター概念図

フラワーセンターには季節毎の花がたくさんあります。
ここでは、入って右側の「鑑賞温室」と4月中旬に花盛りを迎えた「しゃくなげ」の写真をお目にかけます。

温室の花たち

(写真をクリックすると拡大写真が出ます。)
ヒスイカヅラ
ヒスイカヅラ
スイレン
スイレン
ホコバヤトロファ
ホコバヤトロファ
オオシロソケイ
オオシロソケイ
ベニチョウジ
ベニチョウジ
ペトレア・ウォルビリス
ペトレア・ウォルビリス
カエンボク
カエンボク
シロフゲットウ
シロフゲットウ
ブーゲンビリア
ブーゲンビリア


シャクナゲの饗宴

(写真をクリックすると拡大写真が出ます。)
シャクナゲ(1)
シャクナゲ(1)
シャクナゲ(2)
シャクナゲ(2)
シャクナゲ(3)
シャクナゲ(3)
シャクナゲ(4)
シャクナゲ(4)
シャクナゲ(5)
シャクナゲ(5)
シャクナゲ(6)
シャクナゲ(6)


フラワーセンターにはレストハウスがあり、うどん、そば、その他の軽食や大船軒の「鰺の押寿し」も販売していました。

天気の良い日に花や木を見ていると何時間もあっという間に過ぎてしまいます。

大船駅に出るには15分も歩けばよいでしょう。


    [参考図書など]
  • 『大船物語』升本喜年 ホンゴ−出版
  • 大船軒の歴史 同社HPほか
  • フラワーセンター概要 同園HPより

制作:亜郁/ひろさん/かぼちゃ 協力:高山/太郎/まもる

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