この古道は、坂東観音霊場・札所33ヶ所の第1位「杉本寺」〜第二位「岩殿寺」〜第3位「安養院」〜第4位「長谷寺」へとめぐる“観音めぐり”の参道だったようで山道の所々に古い庚申塔(と言うより石の板)が残っている。(岩殿寺は横須賀線の電車で鎌倉から逗子に向かって、名越のトンネルを出てすぐ左側の山上に大きな看板があるので直ぐ判る)
入口から15分程歩き古道もそろそろ終わりに近づき人家が見えるあたりまで下ってきた森のなかに岩をくりぬいた古い祠がある。中に岩を刻んだ仏様が立っているがお顔の表情もハッキリしないほど風化していて、昔の人の信仰心の深さを感じさせる。
ちなみに、坂東札所33霊場は鎌倉の杉本寺を第1位(出発点)として、遠く日光中善寺(18位)から南房総南端の那古寺(33位)まで広範囲に亘っていますが、昔の人は精力的に関東一円を歩いて煩悩を取り払ったのでしょうか。
ちなみに、観音信仰という本には、巡礼十種の徳として次のように記されています。
一つには、三徳 道に迷わず
二つには、臨終正念なるべし
三つには、巡礼する人の家には仏のようご有るべし
四つには、六観音の梵字ひたいにあるべし
五つには、福智円満なるべし
六つには、子孫繁盛すべし
七つには、一生の間僧供養にあたるべし
八つには、補陀落世界に生ず
九つには、かならず浄土に往生す
十には、諸願成就するなり

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