最新号

鎌倉の散歩道−16

大仏坂切通しと極楽寺切通し




四囲を山と海に囲まれた鎌倉の中心部へ入るには、船で入るのでなければ、 険阻な山道を経なければなりませんでした。
それが、今に残る「鎌倉七口」(新編鎌倉志)と言われる七つの坂と切通しです。
海を背にして、東から名越切通し、朝比奈切通し、巨福呂坂、亀谷坂、化粧坂、大仏切坂通し、極楽寺切通しです。
鎌倉の坂と切通しについては、「e-ざ鎌倉・ITタウン」に記載があるので、同ページの管理者及び作者の了解を得て地図を掲載させて頂きました。
「鎌倉七口の坂と切通を歩く」へのリンク

また各切通しの呼称について、いくつかの文献をまとめたので参考に供します。 各切通しの呼び名

鎌倉シニア通信ではこの七口について3回に分けて探訪し、報告します。
第二回「朝比奈切通しと名越切通し」へのリンク




その第一回は梅雨の晴れ間の6月半ばで、7人の編集員が歩きました。

大仏坂切通し

今回のアプローチはバス停「火の見下」から。
このバス停は、江ノ電バス「鎌倉藤沢線」、京急バス「鎌倉大船線」にあります。

火の見下で下車後、バス停を大仏側に歩いてすぐ左側の路地に入ります。
路地の幅は1メートルに満たず判りにくいのですが、百歩も行かないうちに大仏坂切通しの道に直角にぶつかります。
切通しに通じる道は深山の趣を示し、登山気分になります。

足許は落ち葉などで濡れてはいますが、しっかりとしていて、水溜まりもなく、予想していたほど悪くはありません。

(大仏坂切通し・入口)
(大仏坂切通しのやぐら)
路地の写真
大仏坂切通しのやぐら

登りはじめて間もなく、左側に大きな岩の崖が現れました。
やぐらと言われるくり抜かれた岩屋が幾つかありました。
この崖は人の手になったのでは、と思える程に表面は平滑で、もしかしたら、外的進入を阻止するための大切岸(おおきりぎし)かもしれません。

(大仏坂切通しの道)
切通しの道 岩場にはさまれた狭い道、その狭い道に大きな石が横たわり、苔むしています。敵の馬が駆け抜けないようにと配置した「置石」でしょうか。

右下には、大仏トンネルへ続く県道に面した民家の屋根が所々見えます。

左手の住宅は「住友常盤住宅地」です。
ここからも、切通しの道に入ることが出来ます。

苔むした悪路がしばらく続き、峠近くにつきます。
通行止めの柵がありましたが、頭上の桟が切り取られ、下部も取り払われていました。
その先にも木や枝が積み上げられていたり、通行止めの意志を示した と思われる場所が2カ所ありましたが、「通行止め」の標識はありませんでした。

遅れた仲間も加わり、総勢7人で歩きました。

(大仏坂切通しの道1)
(大仏坂切通しの道2)
(通行止め?)
大仏坂切通しの道1
大仏坂切通しの道2
通行止め?

ここを始めて訪れた仲間は一様に、昔のままの切通しが残っていて感激したと言い、2〜3人ではちょっと怖いような場所だという仲間もいました。

大仏トンネルの上で、先生に引率されて大仏側から登ってきた小学生のグル−プに出会いました。
聞けば、東京の砧から来て、これから、源氏山に行くのだそうです。

(源氏山まで遠いヨ)
(長谷配水池広場)
源氏山まで遠いヨ
長谷配水池広場


私たちは、大仏側の県道に下りずに、右の石段の道を登り「長谷配水池」に出ました。

テ−ブルと椅子のある、ちょっとした休憩場所があり、色の薄いホタルブクロ(蛍袋)が柵の下に咲いていました。

小憩の後、急な坂を下りると、そこは馬場ケ谷と言われる谷戸です。

(馬場ケ谷)
馬場ケ谷 今は道の両側に人家が並んでいますが、この辺りは近くにある極楽寺 を開いた忍性が馬の調教のためにつくった馬場があったといわれており、 執権時宗が若い頃、小笠懸で見事に的を射て、満場の喝采を集めたという 言い伝えも残っている所です。

谷戸の民家にはハマユウ(浜木綿)、ブ−ゲンビリア、コエビソウ(小エビ草)などの花々が咲いていました。

谷戸の出口の稲村小学校までかなりの距離で、奥深い谷戸だと思いました。

道を右に取って、月影地蔵をお参りし、来た道を極楽寺方面に戻りました。

江ノ電の線路手前を左折すると正面に熊野新宮があります。
ここは昭和初期に、近くにあった八雲神社と諏訪神社を合祀したと説明にありました。
これを八雲神社と数えると、鎌倉市内には五つの八雲神社があることになります(大町、山ノ内、常盤、西御門)。

(月影地蔵)
(熊野新宮)
月影地蔵
熊野新宮

江ノ電をまたぐ桜橋を渡ると、成就院のアジサイがお目当ての人たち でしょうか、かなりの人出でした。

極楽寺切通し

(極楽寺切通し)
極楽寺切通し ここの広い道が「極楽寺切通し」です。

往時は、大仏切通しのように、苔むした道だったのでしょうか?
人家の脇を入ると、伝上杉憲方の墓の七層の塔があり、また広い道に出て成就院への参道をのぼりました。
アジサイ見物の観光客が沢山いましたが、今年は、思い切って刈り込んだ結果、花は付けていませんでした。
「来年はきれいな花を咲かせるでしょう」の張り紙が出ていました。
スピ−カ−から般若心経の読経が流れていました。


「極楽寺切通し」は、かつては成就院と同じ高さの所にあったということですから、かなりの急坂だったようです。
鎌倉防御と周囲の地形を見ればうなずけます。

(虚空蔵堂)
(御霊神社)
虚空蔵堂
御霊神社


虚空蔵堂、「十井」のうちの一つ「星の井」を見て、御霊神社へ。
社務所の手前に真っ青なホタルブクロが咲いていました。

丁度頃合いとなり、長谷駅の近くのスペイン料理に入って昼食を摂りました。
正味、およそ2時間の散策でしたが、結構変化に富んだ道のりでした。

制作:ひろさん/亜郁  協力:かぼちゃ だだっこ


「朝比奈切通しと名越切通し」へのリンク


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