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鎌倉の散歩道 15


洗馬谷と関谷の散策

4月下旬、洗馬谷横穴古墳群と鎌倉の野菜庫「関谷」を歩きました
鎌倉シニア通信編集部の8人と、「友達の友達は」式に
集まった女性たちを含め、総勢16名
ガイド役のSさんが戸惑うほどの盛況でした

コース地図



春の花の咲く階段
10時過ぎ栄光学園前をスタ−ト。

少し下った玉縄台交差点で、右手上の小高い新緑のある所に縄文遺跡があるという説明を聞く。
この交差点を左折して、すぐ下に関谷小学校が見える辺りで階段を降りる。
ショカッサイ(花大根)や菜の花など、春の盛りの花々が咲き乱れていた。

花好きの人、花に詳しい人が参加していて、足元や民家の庭先の花に目を留め、カメラを向けたり名前を聞いたりしながら進む。
「アカバナトキワマンサク」や「ヒメオドリコソウ」、「リキュウバイ」なども咲いていた。
洗馬谷古墳の標識

その先の道路わきの草むらに、市指定史跡「洗馬谷横穴古墳群 四穴」と書かれた標識が建っていた。
「センバヤト」とか「センバガヤト」と読むそうだ。資料に依ると、四穴からなり八世紀末の墳墓だという。
草木をかきわけて少し上がると小さな穴が3つ見え、中央の穴に体を寝かせながら入ると、中は2m近くの高さで数人は入れそうな広さだった。
古墳の入り口

奥には1m近い高さの「棺座」があった。
資料によると、人物や舟の絵が描かれた「壁刻画」があるというので、懐中電灯で照らして見たが残念ながらそれらしきは見えなかった。別の穴だったのかもしれない。
見たことのあるSさんは「初めて見た時はとても感動した」と語ってくれた。
道祖神


この付近は山に囲まれた新しい住宅地だが、三叉路に明治八亥年四月と刻まれた道祖神が椿とツツジに囲まれて祀ってあった。
旧家を思わせる広い敷地の屋敷もある。

関谷川を渡ると、県立の鎌倉養護学校と関谷小学校が隣接していた。
左に折れて川と小学校に沿って行くと、緑濃い静かな住宅地の中に庚申塔があった。これが既に「庚申塔のページ」で紹介済みの鍛冶ヶ谷の庚申塔である。正面下に「聞か猿」が彫られていた。
近くにペンペン草があり、茎を少し剥がして振るとかすかに音がした。昔は雑草と軽視された草花も今は都市化につれて貴重なものになりつつあるようだ。「軍配ナズナ」や「ホトケノザは二種ある」と教えてくれる人もいた。

関谷山王社

少し戻って大きな道路を行き、「関谷インター」バス停のところで右に回っていくと、関谷山王社が見つかる。
この辺り石原谷戸といい、昔ながらの古い農家や花の咲く畑などが残っていた。
ここの谷戸にインタ−が架かっているといった地形だ。
その手前には昭和33年造の道祖神があった。
関谷地蔵堂

藤沢方面へ通じる広い道路の向こう側に関谷地蔵堂が見えた。
工事のために移したら交通事故が頻発し、又、元へ戻したとか。
ここからバス停が近いので、用のある4人が一足先に帰った。

東証院橋から下の道路を見下ろす

右折して舗装された農道を200mほど上ると広い台地上に畑が広がっている。遠くにドリ−ムランドのホテルも見える。

この台地上の畑作地が縄文時代の人々の居住地だったことが、発掘調査で分かってきたと「鎌倉子ども風土記」にでている。
東正院橋


国道1号線に通じる道に架かる東正院橋(歩道橋)の上から、しばし、東正院遺跡と呼ばれる辺りを眺めた。
これは全国的に見ても重要な遺跡だそうだ。その向こうは子雀(こすずめ)浄水場がある。

畑地

この付近の広い地域がほとんど農地であり、鎌倉市の野菜を供給する所と言える。戸塚区と藤沢市に接している。
4月下旬は裸地が多かったが、キャベツや大根、ワケギ、セロリ、ほうれん草が緑を添えていた。
キジの鳴き声を聞いた人もいて、棲んでいそうな林もあった。


人家が現れはじめた所に、大船フラワ−センタ−関谷駐在事務所の看板が見えた。中からでてきた人が、ここは農家のための施設だと教えてくれた。シャクナゲ(石楠花)やスミレ、オオイヌノフグリの小さな花もきれいだった。

しばらくすると「島の神」交差点から大きな道路になる。その少し先にある点心バイキングで話題の「炎の龍」で昼食とした。
ここまで10kmあまり2時間30分ほどの散歩だった。万歩計では12600歩を記録した。

帰りは、円光寺、大船フラワーセンターに立ち寄り大船駅まで歩いた人もいた。
絶好のお天気に恵まれ、すがすがしい空気のもと広々とした緑の野を歩く楽しい一日となった。



鎌倉は神社仏閣で有名ですが、
一方ではもっとずっと遠い昔の記憶もとどめている土地です。
観光客のいない広々とした静かな野に出て、
往時の人の生活をしのぶことができます。

一味違う鎌倉散歩をぜひお試しください。


下の関谷風景にマウスを乗せるともう一枚見えます。




制作:太郎 協力:亜郁 かぼちゃ

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