最新号

リレー随筆 (No.84)


-自分史-

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「自分史」とは何かご存じの方も多いと思います。読んで字のごとく自分自身の歴史ですね。 私が「自分史」という言葉を知ったきっかけは、以前に地域紙で自分史の作り方を教えますと云うセミナーの広告を目にした時でした。その時は、漠然と自分の出生、小学生から大学までの学生生活、そして社会に出て現在に至るまでの社会生活の記録でも作るのかなと想像したものです。

そうであれば自分を振り返る意味で面白そうだなと思いそのセミナーに出てみることにしました。そのセミナーには私と同じような年代の男女シニアが20~30人ほど参加しており、皆さんも自分史づくりに興味があるようです。 セミナーを聴講してみると、自分の歴史を作成することは間違いないことでしたが、伝記本や自伝みたいな多ページにわたる記述でなく、大きな文字と写真で絵本風に編集した自分史を作ることでした。 すなわち、自分の生涯で起こった主な、かつ懐かしいエピソードをいくつか選び、それらの写真も取り込んで簡単に説明し、併せてその時々の社会の出来事を併記して、自分はどのような時代にどのように生きたのかを目に見える形で編集するというものです。

そうして作る自分史の目的は、老いていくうちに誰でも記憶が薄れていくので、これがあると楽しく懐かしい記憶はいつでも蘇るし、それを家族や他人に話す、あるいは自慢することでコミュニケーション能力が維持できるとのことでした。 つまり認知症対策にもなるようなものとの説明でした。

このような自分史を、自分一人で資料収集し、レイアウトし、説明文を作成までするのは大変な故に、自分史の制作を代行してくれる会社があります。 そこに依頼すれば自分史に記載すべき個人の生い立ちや生活上の出来事やイベントを聞いて編集し、きれいに装丁した自分史の自費出版をアシストしてくれるとのことでした。現在、「自分史」でWeb検索すればいくつかの会社が自分史の自費出版のお手伝いすると広告を出しています。

私は、絵本を作るとは想像していませんでしたが、どのような形であろうが、自分の生きた過程を形で残すことは意義あることだし、自分が生きた時代がどういう時代であったのかと自分の過去を思い起こすのも悪くは無いかなと思います。

自分史の制作を出版社に依頼し経費までかけて見栄えの良いものを製本するのも良いが、幸いにして手元にパソコンがあるので、例えばエクセル、ワード、パワーポイントなど自分の得意なソフトを使い、自分流の形で制作できるのではと考えます。 つまり、人に見せることを前提にせず、あくまで自分の生きてきた過程を自分流に一覧にすると云う事を目的に制作することで充分と考えます。

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私の古いアルバムには、児童・生徒・学生時代の、それこそセピア色に変色した懐かしい写真があり、社会人になってからの家族や会社での写真が、さらにパソコンやCDには相当前から多くの写真が整理されないままに溜まっているので、自分史を作る素材には事欠かないように思えます。 これら多くの写真をいつか整理したいと何年も思いつつ手つかずになっているのが現状ですが、自分史を作る時が整理する時になりそうです。 ただ、併記すべきその時々の社会での出来事をWeb検索するのはちと骨が折れそうですが、退職して余生を過ごしているので自分史の制作にかける時間は充分あるから、時間を気にせずゆっくりとパソコンで作っていこうと考えています。