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編集部員のリレー随筆(62)


日本の秋は、昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言われているように、9月23日の「秋分の日」から秋になるとされている。 しかし、今年(2014年)は、関東では彼岸を待たずに9月早々に涼しい日が来て、秋の虫も早々に鳴きはじめてしのぎ易くなっている。一方、昨年のように暑い9月もあるので、とかく9月は台風も来たりしてさわやかな秋を感じる月ではないと思われる。 それでも10月になれば、間違いなく落ち着いた気候になり、本格的な秋になる。我が家では10月には暑い夏に荒れた庭木の手入れをする月だが、その作業も気持ちよくはかどる季節となる。 

 

秋の晴れた日に庭作業をしていて、澄み切った秋の青空を見上げれば、そこには白い”鰯雲(いわしくも)”がある。 秋空に高くたなびくいわし雲は誠に情緒的であるが、気象的には天気が下り坂になる前兆として現れるとのことである。

いわし雲

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この鰯雲が秋の芸術作品の題材として様々に使われているようである。 我が家では、家内が俳句をたしなんでおり、鰯雲を題材に一句詠んでそれを色紙に書としてしたためている。 この句は、鰯雲の一片一片からピアノの鍵盤を連想し、それを遠い過去では幼なかったわが子二人が、また最近では今が幼い孫二人が連弾している様を詠んだとのことである。

俳句:鰯雲

また、一方の秋の象徴として紅葉や黄葉があり、それぞれは常緑樹の緑葉との対比で引き立つ美しさとなっている。 紅葉の代表はモミジであるが、黄葉の一つはイチョウであり、娘が通った大学にある美しいイチョウ並木を思い出す。 そのイチョウ並木では、黄葉が乱舞して天も地も黄色一色になり、まさに秋そのものの風情を感じられる。

イチョウ並木

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この黄葉も多くの文芸作品の題材になっていることであろう。 我が家では家内が俳句以外に書道をも趣味としており、漢詩の一部で黄葉を題材にした彼女の書がある。 この語句の意味するところは「秋の樹々から黄葉が舞い散る」であり、秋の落葉風景を表現しているとのことである。 

書:黄葉

70歳を超えた今年は、新年早々に大腿骨骨折治療の手術を受けるような災難に会い、決して幸先の良い70歳台のスタートではなかったが、幸いに回復は順調で今では歩行走行共に支障が無いくらいに回復して、散歩やドライブで秋の風情をも楽しむことができている。 この事故を経験して、如何に人並みの健康が大事であるか、健康でなければ四季の情緒を享受できないことを思い知らされた。 さらに初秋の9月は誕生月にもあたり、70歳を超えたこれからの人生(余生)に於いては、健康に留意して、9月の初秋および本格的な10月の秋を楽しむことにしようと思う。


制作:こうなん

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