最新号
編集部員のリレー随筆(34)
− 太宰治の足跡 −

 明治42年、青森県の名家に生まれた太宰治は東大在学中、左翼運動に参加したが、のちに転向して文学を志した。
 戦後は「斜陽」「人間失格」「桜桃」などを執筆し流行作家として活躍するが、昭和23年6月13日、愛人と玉川上水に入水自殺した。 死体が6月19日に発見され、奇しくもその日が39歳の誕生日であったことから「桜桃忌」は毎年、19日に三鷹の禅林寺で修されている。

禅林寺墓所 太宰治墓
▲ 禅林寺墓所 ▲ 太宰治墓

 この文を書くため9月上旬の或る日、三鷹市の禅林寺に参った。6月の桜桃忌の際は大勢の人が墓に群がり賑やかだったが、現在も花が供えられ線香の煙が絶えない。 酒好きだった彼のため、墓前にトリスウィスキーの瓶が飾ってある。 

ウイスキー瓶 玉川上水
▲ ウイスキー瓶 ▲ 玉川上水

 太宰が入水自殺した昭和23年は戦後の混乱期の最中で1月、帝銀事件、2月、片山哲内閣総辞職、3月、芦田均内閣成立、10月、昭和電工事件により芦田内閣総辞職、10月第2次吉田内閣成立。

 あれから60年、吉田茂の孫、麻生太郎率いる自公政権は崩壊した。 盛者必衰の諺あり。

井の頭自然文化園 井の頭池
▲ 井の頭自然文化園 ▲ 井の頭池



制作 湘南太郎


編集部員リレー随筆リスト
最新号