関東大震災の鎌倉 その20

  ―公共施設等の被害―

3 鎌倉警察署の被害と、自警団・在郷軍人分会等のことなど
 鎌倉警察署本庁舎は倒壊は免れましたが、建物全体が約60cm後退して南に傾き、屋根瓦は落下し、羽目板・壁・天井等も落ちて使用できないほど壊れました。駐在所は乱橋材木座・山ノ内・腰越・深沢の4個所で全壊し、その他は大破しました。署員はおおむね無事でしたが、巡査の家族で2名が犠牲となりました。
 2日と3日にわたって横須賀鎮守府所属の海軍部隊より兵員が派遣され、町内警備の任にあたりました。それにもかかわらず流言蜚語(りゅうげんひご)が流れ、白昼武器を所持する者が
いるなど町内は殺伐としていました。そこで自警団が組織されて警備が強化され、治安はしだいに安定しました。一方警察は、在郷軍人分会・消防組・青年団等を補助として警戒にあたり、事故の防止や火災の防止、避難者の指導等に努めました。また、長谷と由比ガ浜派出所に臨時検問所を設けて拳動不審者を取締り、本署に相談所を設けて被災者からの相談を受付けました。

『鎌倉震災誌』(昭和5年 鎌倉町役場)の記載内容から

浪川幹夫


軍人分会・消防組・青年三団体の仮設事務所
写真1 軍人分会・消防組・青年団三団体の仮設事務所(鎌倉市中央図書館蔵)
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