第36回 My 鎌倉  
今月のゲスト
二見勝治さん

二見 勝治さん

障害を抱えながらも
カアちゃんと二人三脚で頑張る

・・・ 深沢の「魚一」店主 ・・・


[03.02.23 鎌倉深沢・「魚一」にて]

ふたみ・かつはるさんのプロフィール
昭和12年神奈川県藤沢市江ノ島生まれ。65才。
中学時代から父を手伝い、深沢の魚屋さんを続けて50有余年。今日も包丁を握って昔からのお客さんに喜ばれる。




■深沢で50年・・・


江ノ島から深沢に引っ越して、おやじが魚屋を開店したのは昭和26年の事です。 あたしが中学の時で、開店からすぐおやじを手伝いましたから、 もうかれこれ50年を越した勘定になります。

そのころの深沢には田圃がたくさん残っており、カエルの声がとてもやかまし かったですね。(笑い)

当時は等覚寺の前に店がありましたが昭和33年に今のところに移りました。 その翌年、このカアちゃんと結婚し、以来ずーっと一緒です(笑い)。

調理師免許は昭和35年に取得しました。 この店は昔から仕出しが多かったですね。

昭和30年代の深沢

(昭和30年代の深沢近辺)

■表彰の翌日に・・・


今までで、一番印象に残ったことは、昭和62年11月に鎌倉市から、 調理師の技能が表彰されたことです。 今でも、毎年秋にいろいろな方が表彰されていますよね。 あの表彰状を頂きました。

そして、その翌日、脳梗塞で倒れました。
その時は、大変なモノを戴いてしまったという気がしましたね(笑い)。
病院から戻って、必死にリハビリして、ようやく、包丁を握ることが出 来た時は本当に嬉しかったですね。 病気になった悔しさがリハビリのバネになったんでしょうか?

今でも右手と足が不自由ですが、何とか工夫して、魚屋稼業を続けています。

■二人三脚でここまで・・・


みごとな包丁さばき

(左手で支えてみごとな包丁さばき)
見ておわかりのように、魚をケースから取ってきたり、盛りつけた刺身の皿を どけるのはカアちゃんの仕事です。 あたしは大声で怒鳴るだけ。本当はカアちゃんに感謝してるんです。
ただ、感謝してるとかは、滅多に口に出しませんが・・・。(笑い)

河岸への仕入れもカアちゃんと二人三脚です。
車の運転をし、魚の目利きをし、値段の交渉は出来ますが、車への積み下ろし はカアちゃんの仕事です。 もちろん仕入れ伝票の整理や、お金の支払いもカアちゃんの役目です。

カアちゃんと二人三脚の仕事

(カアちゃんと二人三脚の仕事)
お陰様で、近くのゴルフ場や病院から鮮魚の仕入れを任されています。 ほかに、高齢者向けの夕食宅配サービスの会にも届けます。
その配達も、カアちゃんとあたしの二人三脚で、運転手以外の仕事は全てカア ちゃんがやってくれます。

あいにく、カアちゃんの体調が悪く、一人で配達に行くとき、カアちゃんがひ そかにお客さんに電話を入れ、玄関先まで出て待っていてくれるのも、あたし の手足が不自由なのを思いやってのことでしょう。 ですから、カアちゃんにも、お客さんにも支えられて50年あまりも商売を続 ける事が出来たんです。

■朝から晩まで・・・


一日は早朝の起床から始まります。
河岸への買い出しから戻るのが8時頃。すぐに、ゴルフ場や病院への配達が待っています。

ゴルフ場の刺身は、ブロックで届けるし、高齢者向け夕食宅配サービスの会には、切り身で届けます。病院は、指定の魚を一切れ何グラムと注文してきますが、5グラムもたがわずに切り分けます。
そうやって手を加えてから届けるので、仕入れから配達までの間が忙しいんです。

配達から戻るのが9時頃で、すぐに仕出しの調理にかかります。
炭火で鯛を焼く

(岩手産の炭で鯛を焼く)

今日は、快気祝いで、鯛の尾頭付きの焼き物(2尾)、刺身盛り合わせ、エビとカキのフライ、トコブシの焼き物、などを作ります。 鯛は炭火で焼いた方が旨いので岩手産の炭を用意しました。 料理は彩りですから、つまや飾りにも気を遣いますね。

仕出しの調理が終わると昼近くになります。
もちろん、仕出しは、その日によって、お客様の都合で時間が変わります。 夕方にあわせてご注文を戴く場合もあります。

夕方までぼつぼつとお客さんが続き、夕食の買い物のピークを迎えるともう夜 です。

鯛の姿焼き

(おいしそうに焼けた鯛の姿焼き)
カアちゃんが夕食の支度をしている間に、近くの一杯飲み屋へ配達に出かけるのですが、つい腰を落ち着けてしまって・・・(笑い)
夕食の準備が出来るとカアちゃんから電話がかかってきます。
それでも帰らないと、カアちゃんが呼びに来るんです。 飲み過ぎを注意するためと云っていますが、お膳が片づかないからかも知れま せん。(大笑い)

あたしはその後は寝るだけですが、カアちゃんは帳簿の整理があります。 こうしてみると、二人でほんとによく働きますね。
それもこれも、お客さんから、「美味しかったよ」といわれたときの喜びが頑 張りの源なのでしょうか。

いつも二人一緒に

(いつも二人一緒に)
オーイ、カアちゃん、お客さんだよ!!



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