第78回 My 鎌倉   ロゴ
今月のゲスト

瀧川 虹風さん
(瀧川 和人)


「能面・能画」作者
(狩野宗家系統)


[2013.8.25]
 
瀧川虹風さん
たきかわ こうふうさんのプロフィール
1948年 昭和23年 鎌倉生まれ
1966年 昭和41年 逗子開成学園卒業
1970年 昭和45年 駒澤大学国文学科卒業
1972年 昭和47年 観世能楽堂鏡板揮毫に参加(日本美術院にてM氏の指揮下)
1984年 昭和61年 富山能楽堂鏡板揮毫(62年開場)
1992年 平成4年 野村万蔵家へ狂言面「乙」「武悪」作成納入
1997年 平成9年 沖縄芸術大学に能面「般若」製作納入、「小面」「子猿」納入
1999年 平成11年 明治神宮狛犬一対彩色(彫刻は芸術院会員・日展理事長・橋本堅太郎氏)
2000年 平成12年 文化庁の依頼により能面「般若」、狂言面「子猿」作成納入(国立劇場おきなわ用)
2002年 平成14年 狂言面「福の神」を野村萬師の依頼で製作
阿佐ヶ谷「神明宮」能楽殿、鏡板老松図の作成

鎌倉生まれ・鎌倉育ち

昭和23年鎌倉で生まれ、大学在学時は折りしも後半は学生運動が盛んな頃でした。母校の逗子開成で教育実習をし教員免許を取りましたが、1年間程大手の印刷会社に勤務したのち、祖父の仕事だった日本画の道に進みました。その関係で能舞台の老松図も20回くらい描き、絵の教室など続けながらプロ用の能面も製作してきました。昭和50年から現在まで能の世界に多くの作品を出品しました。これまでに文化庁の依頼で「般若」「子猿」を制作。人間国宝の野村萬さんにも制作を依頼されています。能に関する講演も時折行っています。
(祖父(瀧川洗風)は狩野宗家系統の能画家で、長谷の鎌倉能舞台鏡板などを制作)
                    
能舞台 
小山舞台(和人画)
能面



能面の作り方

能に用いる仮面。「おもて」とよばれ、「めん」とはいわない。ヒノキを彫り、顔料(がんりょう)で彩色して仕上げる。キリ、クスノキ、カツラを材料とすることもあり、種類によっては目や歯に金をはめ込むこともあります。
図面

原木
設計図
(小面)
図とり「側面図を原木に貼り付け、鋸で切れ目を入れる。」(福ノ神) 原木を荒削り
(小面)

能面 能面 能面 能面
表と裏をほり仕上げる あごを切り離す 彩色する 髭をつけ完成(翁)



作品

龍王
「龍王」

野村万蔵家の依頼で製作
般若
若女
般若 若女



■能画

能画は日本画の一分野で、能を題材にしたものです。能の美しさ幽玄な舞姿を鮮やかな絵に再現します。

高砂
養老
高砂(たかさご) 養老(ようろう)
阿蘇の神主が訪れた早春の高砂の浦。夕景の浜、松の根方を掃き清める老夫婦。実は松の精であり住吉明神の化身でもある。夫婦和合こそが国の基であるということを説く。
美濃の国養老の瀧あたりに住む親孝行な男の前に多度山の神が出現し、美酒にも似た霊験ある甘美な瀧の水を授け祝福する物語。
胡蝶
楊貴妃
胡蝶(こちょう) 楊貴妃(ようきひ)
まだ寒い早春にしか咲かない梅の花も、是非とも遊び戯れたいと願う蝶の精が、旅の僧の回向により願いを叶えて歓びの舞を舞う。
天に在れば比翼の鳥、地に在れば連理の技と固い愛を誓った唐の玄宗皇帝と楊貴妃の心も、妃の死によって隔てられたが、超能力者の方士は彼女の魂が住む蓬莱宮を訊ね対面する。
松風
葵の上
松風(まつかぜ) 葵の上(あおいのうえ)
貴公子在原行平に愛された汐汲みの姉妹の亡霊が、旅の僧の夢に現れ愛の追憶を語り、形見の装束を着けて狂おしい舞いを見せる。秋の須磨の浜辺の情緒が漂う古くからの物語。
源氏物語に取材した嫉妬執心の曲。高貴な婦人である六條御息所の生きた霊魂が、光源氏の正妻葵上を病に陥れ、やがて枕辺に迫り来る。女の悲しみや怒り嫉妬を表す般若面を用いる。
融
猩々
融(とおる) 猩々(しょうじょう)
平安貴族であった左大臣源の融はその昔、自らの邸内に海を作り毎日潮を運ばせ塩を焼いて、遊興三昧の生活を送った。在りし日の姿で現れた融の亡霊は月下に舞を舞う。
唐土潯陽の海中に棲む酒の大好きな妖精猩々は、親孝行な酒売りの青年高風に汲めども尽きぬ酒壷を与え、酔いに任せて祝福の舞を舞う。



仏涅繁図を彩色

鎌倉市山ノ内の東慶寺に伝わる「仏涅槃図」。法話では色彩表現が欠かせない為に彩色をしました。
同寺の涅槃図は裏山の「松ヶ岡文庫」に収蔵されています。毎年2月15日の涅槃会と、四十年以上続く同17日の会員制座禅会に用いる仏涅槃図は江戸時代から伝わるものですが、単色の木版画しかなく、ご住職の依頼により彩色した。全国に残っている涅槃図を参考に欠落部分を補修した。仏様(釈迦)は80歳だが若々しくふくよかに表現されており、下段には様々の生きとし生けるものが描き込まれている。(非公開です。)

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仏涅槃図 仏涅槃図
新聞記事 釈迦涅槃図
神奈川新聞(H17.2.13) 釈迦涅槃図とは



■ ポスター

「ジャズコンサートのポスター」 鎌倉市の依頼により製作。
学生時代に横浜デザイン学院に通いました。伝統的な能画とは別世界で、テーマに合わせて斬新的なものに仕上げています。
 
ポスター ポスター



 
能面教室

鎌倉八幡宮前小山舞台で「鎌倉能面教室」を開校。能面、狂言面を始め、自由面なども制作する会です。
現在月曜(第2・第4)の予定のみですが、日曜日の予定もあります。
興味のある方、詳細をお知りになりたい方は電話でお問い合わせ下さい。
お問い合わせ先:瀧川虹風さん TEL.080-5012-8481 または 0467-22-8481



取材班より
瀧川さん 瀧川さん

取材は若宮大路沿いにある能舞台前に、能画、能面を多数陳列して待って頂きました。取材陣はIT関係者で能画能面などには全くの素人でご迷惑だったろうと恐縮しています。画伯は日本画家を祖父にもちその血筋は争えず、20代から専門的に能画能面の世界にはいられました。最初は修復作業に従事、その後伝統的な作品を参考に独自の境地に至っているとのことでした。「能面で角(つの)があるのは女性を表しています。お嫁さんの角隠しと同じ考えです。」といわれ、はっとしました。


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